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気づいたら、年上の側になっていた
西:私は20代でデビューして、担当の編集者さんは10歳以上年上で、「お兄さんたちが私の本を出してくれている」みたいな感覚でいたのね。せやから、「もう一杯飲みたいー!」と言えば、大人が「やれやれ」と言って連れていってくれる、みたいな感覚やった。それが30代くらいから、「あれ? 編集者さんが私より若い……?」となって。
オカヤ:若い編集者さんたちは、飲もうと言われたら、付いて来ざるを得ないよね。
西:そうやねん。「あれ、うち、もしかして怖いんや?」と思ったら、こっちも怖なってきて。
オカヤ:パワハラになっちゃうぞ、と。
西:そうそう。それで飲みに行っても、もう若い頃のように無茶苦茶には飲まれへんから、ちょっと大人しくしてると、若い子たちが気を使ってくれて、「西さん、何か飲まれますか……?」みたいになったりとか。
オカヤ:ああー……。
西:気を使って「サービス泥酔」せなあかんのかな、て(笑) でも若い子達を相手に泥酔するのもパワハラになるし、これはしんどいと思って、徐々に飲みに行くのをやめるようにした。「仕事はちゃんとするので、そこにお金を使わなくていいです。もっと若い作家さんを連れていってあげてください」って思ってる。
オカヤ:私こないだ、ずっと担当してくれていた編集さんが産休に入るので、若い編集者さんに引き継ぎしてもらうことになったんだけど、そのときも「じゃあうちでご飯食べようよ」ということになってさ。
西:えー、オカヤさんのご飯食べれて、最高やん。
オカヤ:漫画家が何人かが集まったんだけど、みんな中年女性で、そこに若い編集者さんが一人。
西:あ、それは緊張するぞ!
オカヤ:それで、めちゃめちゃ更年期の話とかして「ワッハッハ」みたいにしてたら、直接そのせいではないと思うんだけど、その方が私の連載を担当しはじめる前に会社を辞めちゃったの。辞めちゃったので謝れなかったけど、ほんとごめん……と思ってる。
西:別に意地悪したわけでもないねんな。でも20代前半の子からしたら怖く見えるわな。
