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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

渋谷「Bar Music」 音楽バーのスタイルを築き上げた、東京の「新しい老舗」

2023.12.11

#MUSIC

ミュージックバーのひな形のような場所

Bar Musicの13年に、Café Après-midiのスタッフだった時間を加えたこの24年間、中村さんは日本中のカフェやミュージックバーに影響を及ぼしてきた。クラブのように盛り上げるわけでもなく、バーのような静けさでもない。ジャンルや時代でくくるわけでもない。その店とその時々のゲストの雰囲気に合わせて、様々なジャンルや地域のレコードを選び、DJ的に流れを作りながらレコードの片面ずつを丁寧に繋いでいく――そんな店内音楽の作り方やバランスのあり方は今や日本中で参照されている。

かつてCafé Après-midiで行っていたものをブラッシュアップし、夜の時間に特化させ、同時により中村さんらしい選曲を打ち出しているBar Musicに、僕は21世紀以降の日本のミュージックバー的な場所のひな形のようなものを見る。「レコードがかかっているバーに行きたい」と海外からの友人に言われたら、蕎麦や鰻の名店に連れて行くように「これが東京だよ」って気持ちで、いつもここを紹介する。僕にとってBar Musicは東京の「新しい老舗」のような場所なのだ。

そういえば、DJで選曲家でもある中村さんは多くのCDの選曲もしているのだが、その中でも僕は『MUSICAÄNOSSA Oregon』という2001年発売のコンピレーションCDが好きで、今も大切に聴いている。22年前の選曲なのに全く古びていないどころか、既にBar Musicを感じることができる。ここには中村智昭のぶれなさがはっきりと記録されている。

ラルフ・タウナーらによるバンドOregonの楽曲をコンパイルした『MUSICAÄNOSSA Oregon』。近年、ニューエイジリバイバルの中で再評価されているOregonだが、中村さんは2001年にその新しい聴こえ方を提示していた。

《Bar Musicが選ぶ5枚》

(左から)

・Slawek Jaskulke『Musicaänossa Slawek Jaskulke』
・James Blake『Covers』
・Jaubi『The Deconstructed Ego』
・Duval Timothy『Meeting with a Judas Tree』
・Bibio『Ribbons』

店舗情報

Bar Music
住所:東京都渋谷区道玄坂1-6-7-5F
営業時間:18:00〜深夜
定休日:不定休
http://barmusic-coffee.blogspot.com

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