雨の日の取材現場に現れたLuvto(岩崎琉斗)は、落ちついた暖かみのある声の持ち主だった。2019年、2024年と大きな注目を集めた2つのサバイバルオーディション番組に参加。「ありのままの自分を見てもらおう」とした2つ目のオーディション番組では、SNSでの思わぬ「炎上」を体験した。殺到する殺害予告に怯え、ギリギリの精神状態で過ごした数ヶ月。自分の言葉で自分自身を支えた。
今、嵐が去った後の海のように穏やかな表情を浮かべ、新たな帆を上げてアーティストとしての人生に漕ぎ出したLuvto。産業カウンセラーの手島将彦との対話を通し、当時体験したことと今考えていることを、これからオーディションに挑む後続の人たちのためにとシェアしてくれた。
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「オーディションの勝ち抜き方」に感じた葛藤
─Luvtoさんは、岩崎琉斗という名前で2つのサバイバルオーディション番組に参加され、現在はソロアーティストとして活動を始めています。そもそもどういうきっかけでエンターテインメントに興味を持ったのですか?
Luvto:芸能に興味を持ったのはわりと早くて、12歳の時です。名古屋でボイストレーニングができる場所があることを知って、親に内緒で電話をかけて一人で体験レッスンを受けに行きました。そこから、主にボーカルレッスンを受けていたんですけど、声変わりで苦労してしまい挫折。でもやっぱり歌うことが好きで、就職せずにもう1回この道に挑戦してみようと思った18歳の時に出会ったのが『PRODUCE 101 JAPAN』(※)というオーディションでした。
※『PRODUCE 101 JAPAN』は、2019年に行われた吉本興業とCJ ENM(合弁会社としてLAPONE ENTERTAINMENTを創立)によるサバイバル型公開オーディション番組。国民プロデューサーと呼ばれる視聴者投票によってデビューできる11人が選ばれる形式だった。

─視聴者投票でデビューするメンバーが決まるというプログラムだったと思うのですが、視聴者の反応に対するプレッシャーなどはありましたか?
Luvto:当時はそれほどSNSでの応援が広がっている時ではなかったのか、参加している時は周りの反応はあまり感じなかった気がします。参加中はスマートフォンも預けていましたし。
だけど、途中から参加の趣旨がどんどん変わっていくなというのは実感していました。僕自身は、練習しないと間に合わない! というタイプだったので、カメラのないところで練習していたのですが、サバイバルオーディションの勝ち抜き方でいうとそれではダメなんです。例えば泣くならちゃんと映るところで泣く、努力は映るところでする。でも僕の性格ではそれができなくて、そこの葛藤はすごくありましたね。

愛知県名古屋市出身のアーティスト。10代から歌を始め、『PRODUCE 101 JAPAN』や Netflix で配信された『timelesz project —AUDITION—』などサバイバル型オーディション番組を経験。2025年11月24日よりLuvtoとしてソロで活動をスタート。等身大の感情をまっすぐに描き出す飾らないリリックと、人間味溢れる歌声が持ち味。
─PRODUCE 101 JAPANに参加されたのは18歳の時でしたね。そこからはどうしていましたか?
Luvto:俳優事務所にお声がけいただき、名古屋から上京しようと決意したちょうどその時にコロナ禍になってしまって……全部が白紙になりました。その後コロナが終わるまでの2年間、ほとんど記憶がないんです。
ようやくコロナが収束してきた2022年に上京をして、そこからはアルバイトをしながらチャンスを探していました。たまたま高校の同級生から、Sexy Zoneが新メンバーのオーディションをやるという話を聞いたんですよ。グループでやってみたいという気持ちがあったことと、Sexy Zoneのみなさんの人となりを聞いたりして、自分の感性を発揮できるのではないかと思って2024年に受けたのが、Netflixで配信された『timelesz project —AUDITION—』(※)でした。
※STARTO ENTERTAINMENTの男性アイドルグループtimelesz(旧名Sexy Zone)の追加メンバーを決定するオーディション番組。審査員は元々のメンバー3人が務めた。
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「仲間にも、番組関係者にも、友達にも誰にも相談はできませんでした」(Luvto)
─受けてみてからはどんなことが起こりましたか?
Luvto:僕、結構SNSで叩かれて、炎上しちゃったんですけど……。

─4次審査の際に足に怪我をして踊れなくなりましたが、その時ですか?
Luvto:いえ、たぶん最初の面接審査(Episode01)からだったと思います。すでに多くのファンがいる事務所の公開オーディションということで注目も集まっていましたし、例えば「ずっと応援している人がまだデビューできていないのに……」とかいろんな事情があって、「追加メンバー候補」に対して複雑な気持ちになる方もいらっしゃったのではと思います。
─具体的にはどういうことがあったのですか?
Luvto:最初はInstagramのDMに殺害予告がバーっと来て。「出ないでください」とか危害を加えるといった恐ろしい言葉が長文で書いてあって、それが多い時で1日100件くらい来ました。
─オーディションを受けていた仲間同士でそういうことについて話すことはありましたか?
Luvto:そこまで打ちとけて相談するということはありませんでした。 仲間だけではなく、番組関係者にも、友達にも誰にも相談はできませんでした。逆に、仲間からは、なんであんなに琉斗が炎上してるの? って聞かれるくらいで。
手島:僕も番組を見たんですが、炎上する要素が正直見当たらないんですよね。

産業カウンセラー、音楽専門学校講師、保育士。ミュージシャンとして活動後、マネジメント・スタッフを経て、専門学校ミューズ音楽院で講師と新人開発を担当。「文化・芸能業界のこころのサポートセンター Mebuki」所属カウンセラー。著書に『なぜアーティストは壊れやすいのか?——音楽業界から学ぶカウンセリング入門』『アーティスト・クリエイターの心の相談室——創作活動の不安とつきあう』等がある。
Luvto:殺害予告を送ってきた人たちは、何らかの事情でつつくところを探していて、僕がターゲットになったのかもしれません。でも多分僕は、映像で見えている部分と現場でのイメージが真逆のタイプだと思います。仲間やスタッフさんとも自分からコミュニケーションをとるし、なんだろう? 自分が前に出ることも好きですが、人を支えるのも好きな方。「チームメイトのいいところを、もっと引き出すにはどうしたらいいだろう?」って裏方みたいなことをよく考えていました。その人が注目されるとわーって喜んだりして。
─確かに、それは伝わらなかったです。むしろ一匹狼的な人なのかと……。
Luvto:その映らない部分とのギャップで苦しむことが多かったですね。参加中も、「オーディション番組向いてないな……」と思うことは多々ありました。

Luvto:僕は、アイドルを仕事にしている人は、アイドルになりきるのも大変だけど、素でいることの方がもっと大変だろうと思うんです。攻撃的な内容の評価も素の自分が全部受け入れないといけないし、それでも自分自身を信じないといけないので。そこの覚悟はできていたつもりだったんですが、文字にして誹謗中傷が来るとやっぱり……。自分が傷つくことよりも、周りが僕にすごく気を遣ったり、身内が傷ついているのをみて心が痛んだということが大きかったです。
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「街に出ると、刺されるんじゃないかと思うんです」(Luvto)
─そういう状況が起こることは、ある程度番組配信前に予想されていたんでしょうか?
Luvto:していなかったと思います。ただ、たまたまスタッフさんの中に前から知っている方がいて、その方が言葉でというよりは、何かあった時に近くで寄り添うという形でケアしてくださったのでなんとか僕ももちこたえられました。
手島:そこは気になっていた部分なので、ちょうどお話が聞けてよかったです。オーディション番組にもよるんでしょうけど、サポートはあったのかなっていうのがちょっと気になったんですね。事務所に所属されている方の場合は、所属事務所からケアがあるかもしれませんが、オーディション番組の参加者の場合、当然無所属の方もいたりするわけで、その場合、仮に誹謗中傷がなかったとしてもちょっとしんどくなってくると思うんですね。

Luvto:聞いた話だと恋愛リアリティーショーなどの場合、参加する前に、メンタルヘルスに関する面談があったりするらしいのですが、オーディション番組だとそういうことは少ないかもしれません。
こちらから、「もう苦しいです」っていうのを伝えられればなんとかしてくださったのかもしれませんが、僕の場合は番組の配信ペースとリアルの間にタイムラグがあったので、誹謗中傷が一番激しくなっていった時期にはもう落選していて、現場にはいかないし、その期間が一番きつかったというのはあります。
─その時も誰にも相談しなかったのですか?
Luvto:相談はしてないですね……。
手島:さっきもおっしゃっていましたが、気を遣われるのもつらいという気持ちもわかりますしね。ちゃんと誰かに適切に頼った方がいいんですけど、頼れたら苦労はしないよっていうのが、もう一方であるんですよね。Luvtoさんがというわけではなく、人によってこれまでの育ち方などいろんな背景があって、人に相談しにくいということはあります。「相談すればよかったじゃない」って言うことで、逆に追い詰めることもありますから、支える側の人は両方考えないといけないんだなと思いますね。
Luvto:もちろん、誹謗中傷が来てからは、Instagramをはじめ、SNS全般を消しましたが、逆に怖くなりましたよね。街に出ると、刺されるんじゃないかと思うんです。歩いている人が全員敵に見えて。今でも時々、その恐怖に襲われることがあります。

Luvto:そういう感覚は、誹謗中傷を最初に受けた時に急に襲って来るというより、徐々に始まるんです。まず一人になって寝る時に色々考えてしまって、殺害予告の文字がフラッシュバックするようになりました。この番組に出ない方が良かったのかなって、何度も振り返って考えるようになってどんどん落ち込んで、睡眠時間は眠れた時で3、4時間くらいになりました。
体重も激減して、今は58キロくらいなのですが、一時期50キロを切るくらいまでいきました。食べてはいたんです。特に撮影中は食事が出るので、今よりもちゃんと食べていたはずなんですけど、寝ていないせいか全然身につかなかったですね。

手島:やっぱり色々考えちゃって、思考が止まらなくなったりしますよね。反芻思考とも言うんですが、ぐるぐる同じことを考えて脳が休まらないんです。
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「オーディション番組の矛盾は、最終的に自分で決めることが絶対できないこと」(手島)
─番組の配信が終わってから、どんなふうに今の自分を取り戻したんでしょうか?
Luvto:とりあえず、「普通の日常に戻ってみよう」からスタートしました。もう歌を歌おうという気持ちにもならなかったので、一旦普通に過ごすことを目標に頑張っていました。3ヶ月くらいたって眠れるようになり、そこから体重も戻っていきました。
─逆境からの精神的回復力をレジリエンスと呼びますが、ご自身が苦しい時期を乗り越えてもう一度今の心持ちになれたのは、何が支えになったと思いますか?
Luvto:結局僕自身は音楽が好きだし、支えられたのも音楽でした。それとオーディション期間中は、「自分のペースでいいんだ」とずっと自分に言い聞かせていました。最後は自分自身が一番支えになったと思います。もう一度始めるにあたっては、応援してくれている人たちの支えもあったかもしれないですね。そういう人たちのために、有名になろうというのではなく、Luvtoだから伝えられることを伝えていこうっていうふうに目標が変化したからこそ、再スタートできたと思います。

手島:一番良いところにたどり着いたんじゃないかなって気がします。最近よく「自己肯定感」という言葉が使われますが、本来それは、その人が何かの役に立つとか成果を上げられるとか、そういう機能的なことや効力感・有用感ということだけでなく、自分の存在自体をそのまま認められるかどうかという存在レベルでの肯定感っていうのがもっと大事なことで、多分そこに戻っていかれたわけですね。
これは批判ではありませんが、オーディション番組で気を付けないといけないのは、基本的に「他者が評価する」ってところなんですよね。どんな形を取ろうと、参加者の意志では決まらないんです。そこがいわゆる一般的なアーティスト活動とか他の表現活動と少し違います。努力はできるけど、最後は誰か他者の決定に委ねざるを得ないので、そこの部分っていうのは負荷がかかりやすい仕組みになってると思うんですよ。自己決定ができるかどうかっていうのは、人間にとってすごく大事なことなんです。

Luvto:確かにそれは感じますね。だから、多分何のためにやってるのかわからなくなる子が結構多いのかな。審査員に気に入られることが目標になったり、芸能界でデビューすることが目標になったり、ファンを増やしたいとか、先生に怒られないように頑張るとか、だんだんみんなバラバラになってきてしまう。デビューっていう一つの方向を向いてるように見えて、意外と向いていなかったのかも知れません。
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芸能界を圧縮しているからこそ負荷が大きい
─こうしたオーディション番組は今後も続いていくと思われます。これから挑戦する人たちに対して、今振り返って、こういう心の準備をしておけば良かったとか、制作側にこういう視点があるとよかったということはありますか?
Luvto:そうですね。メンタルヘルスをケアできる人が現場にいた方がいいのかなとは思いました。最初の段階できちんと面談をして説明し、精神的に持たないと思う人は出ない方がいいと思いますし、参加者側の準備としては、そこで覚悟を決めることだと思います。その上で、現場に誰か参加者に寄り添ってくれる人がいると全然変わってくるのかなと思います。

手島:何のためにやっているのかわからなくなるっておっしゃっていましたけど、人間の不安は基本的には「わからない」ことに起因することが多いんです。どうなるかわからないから不安なんですよね。だからカウンセラーとかじゃなくてもいいんですけど、スタッフがそういう状態を救ってあげられるといいかなと思います。答えがすぐ出ないとしても、今の状況を整理してあげるだけで、道筋が見えてくることもある。そういうサポートがないと苦しくなるかもしれないですね。
Luvto:やっぱり、ゴールを見据えると言うよりは、次の課題曲をミスしないようにしようとか、もう目の前のことに必死になっちゃいますよね。課題はもう細かくいっぱいあるんで。
手島:オーディション番組というのは、デビューを目指すっていう仕組みの番組だけれども、芸能界をぎゅっと圧縮したような感じもあるんですよね。ミュージシャンで例えると、一部の最初から売れる方を除いて、普通は小さいライブハウスから始めて何年か経って、武道館とか東京ドームとかに向かって少しずつ段階を踏んで規模を大きくしていく。ファンとの関わりもそうです。そうやってだんだんと忙しくなって耐性がついてくるんだけど、オーディション番組の場合、参加した時点でいきなり全国の人に注目されるところからスタートするじゃないですか。「来週までにこれやって、あれやって」みたいなチャレンジも含めてぎゅっと圧縮してるから、多分見てる我々視聴者にとっては面白いんだけど、やっている人にかかる負荷っていうのはものすごく大きいだろうなと思うんですね。もちろん、だからこそ得られるものも大きいのかもしれませんが。

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「本当の直感」と「思い込み」の違いとは?
─では、ここからは、今、そしてこれからのLuvtoさんの活動にまつわることで、気になっていることを中心にLuvtoさんから質問していただきます。まずは、2025年の11月24日にソロプロジェクトを立ち上げましたね。
Luvto:今年(※)個人で活動を始めた理由っていうのは、最初の地盤は自分で作りたかったからです。10年くらい活動していると、大人を信用しすぎて裏切られた経験も多々あって……。なので、今回は楽曲を作ったり、YouTube動画を撮ったのも全部身内や友達に手伝ってもらいました。それで手島さんに聞いてみたいと思ったのは、これから先いろんな方たちからお声がけいただくこともあると思うんですが、相手の方をどう信じたり、受け入れながらやっていけばいいのかなって。
※2025年12月時点。2026年1月より事務所に所属

手島:基本的には自分の感性、価値観みたいなものに忠実であって、嘘をつかない方がいいと思うので、ご自身でやれるところはなるべくやった方が健全なのかなっていう気はしますね。これは、友達も、今後組んでいくかもしれない大人もそうだけど、単純にどこかで自分を偽ると、その偽った自分と相性がいいと思って勘違いする人がやってくるわけですよね。それってそもそもずれているじゃないですか。その人と関係を続けようと思ったら、ずっと自分を偽らざるを得なくなってくる。Luvtoさんは周囲に気を遣われる方だと感じたので、それで勘違いしてやってくる人もいると思います。
Luvto:それでいうと僕、この人とやりたいとか、このオーディション受けたいっていうのも、人生ほぼ直感で動いているんですけど、毎回、直感のままでいいのかな? って。

手島:多分大丈夫だと思います。その直感が、悪い意味での思い込みなのか、本当に直感なのかは結構大事な気はしているんですけど。言語化した方が整理はつくしはっきりするんだけど、その反面、言葉が1個決まっちゃうとそれに引きずられ過ぎちゃうこともあります。
例えば「人に褒められたい」と思っている人がそれを「アイドルになりたい」という形に言語化したが故に、本当は人に褒められるのであれば他の何かでもよかったのに、自分はアイドルしかないと思い込んでしまい、それによって苦しんでしまう、ということもあります。言葉に集約させ過ぎてしまうことで起きる悪い意味での思い込みには気をつけた方がいいと思います。そうではなくて、こっちの方が絶対自分は気持ちがいいとか、なんかしっくりくるとか感動するとかは、多分大丈夫だと思います。
Luvto:確かに、妥協の経験も何回かあるんですけど、妥協してうまくいったことが1回もなくて……。

手島:ないと思います。
Luvto:なんか僕の人生、言語化できずに感情と感性で動いている感じがするんです。思いついちゃったら引けなくなっちゃうタイプで。
手島:でもこうやってお話していると、実は言語化できていると思いますけどね。尚更大丈夫かなと思いますけど。
Luvto:確かに不安はないかもしれないですね。4人が右を向いていて、僕だけ左を向いていても特に不安は感じないんですよ。
手島:人と違っても大丈夫なんですね。言語化が必要になるのは、人に自分の考えを伝える時、誰かとチームを組んだ時です。でも自分の人生を決める際には、実はそうでもない。いろんな考え方とか知識はあった方がいいけど、さっき言ったように言語化したが故に道を誤る人もいっぱい見てきたので、言語化が絶対ではないと思います。
Luvto:なんか自信が持てました。
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「友達」と「仲間」の違いって?
Luvto:あと、友達と仕事をする上で、最近友達と仲間の違いっていうのをすごく考えていて。あの、これ一歩間違えるとおかしくなりそうじゃないですか。

手島:そうですね。難しいですよね。
Luvto:仲間をチームにするってやっぱりいいじゃないですか。だけど、友達と仕事するとなるとまた全然変わってくる。
手島:一般的には友達と仕事しない方がいいよと言われますよね。ただ、その友達っていうのをどういう人だと考えるか、みたいなところも人によって違っていて。僕も50歳を超えましたけど、学生の時に考えていた友達と、今考える友達って全く違うんですよね。10代の子たちが考える友達って、毎日一緒にいるというイメージじゃないですか。でも、今なんて下手すると3年に1回しか会わないけど、それも友達かもしれない。「いや、そんなのは友達じゃないよ」って言われたら、「そうか、じゃあ俺ほとんど友達いないな」みたいな。でも困ってないんです。だから僕、友達神話みたいなのが本当に嫌いで。
Luvto:わかります。めっちゃ!
手島:Luvtoさん、そういう感じもするので、ということは仲間が必要だと思ってるんですね。
Luvto:ええ。
ソロとして本格的に活動し始めた2025年12月に配信リリースした『Going on』では友人のラッパーCharがプロデュース、Luvto自身が作詞を手がけた。
手島:何かを成し遂げるのには人の力がいるし、人の力があった方が面白いことができる。別に日常生活を一緒に過ごしてなくても、面白いことができれば、手伝ってくれた人がみんなハッピーになるんですよ。喜びってやっぱり生きていくのに大事だなとは思うので、そういう仲間は欲しいですよね。
Luvto:なんか、自分が思っていた答えが返ってきて……すごく今納得したというか、勉強になりました。なかなかこうやって聞く機会がないので。こういうことって、友達にも身内にも話さないじゃないですか。

手島:これはカウンセラーとしてではなく、僕個人が勝手に思ってやってきたことなんですが、高校出たあたりぐらいから「友達めんどくせえ」と思って、友達付き合いをほぼ辞めたんですよね。それで自分の興味関心に忠実に生きていたらーー僕は音楽が中心でしたけどーー勝手にそういうのが好きな人が集まってきたんですよ。もちろん何か活動して発信しないと気づかれないから、ある程度そういう行動はしているんですけど、だんだん1年に1人とか繋がっていくじゃないですか。それが何十年か経つとね、結果的に結構な人数に繋がっているんです。それに僕は何も偽ってないので、手島と相性が合うと思っている人が来てくれているから無理はないですよね。それを友達っていうかな? 仲間ですね。今この対話の中の言葉で言うならば。
Luvto:僕も知り合いは多いけど、友達は少ないタイプなのですごくわかります。
手島:それぞれの距離感で付き合いますが、やっぱり人は大事なんだと思うんですよ。こんな僕でもそう思っていました。さっきのLuvtoさんの話じゃないけど、どこかしら人を支えたいとも思うんですよ。だって、やっぱり自分が支えられた経験もあるし。一緒に何かをやって、何かができたりとか、自分が足りないところを補ってもらってうまくいくと、単純に気持ちいいんですよね。っていうので、答えになっていますか。
Luvto:すごく僕が聞きたいことが聞けた感じがします。
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不安の水をかき混ぜず、上澄みが綺麗になるのを待つ
─これから活動を始めていくにあたって、ワクワクする気持ちと不安な気持ちと色々あるかと思うのですが、いかがですか?

Luvto:今のところ悩みというのは、あまりないんです。結局自分自身を信じて動いているという段階なので。逆にこれから、うまくいかない時もあるじゃないですか。スピード感が落ちちゃった時の不安っていうのはやっぱりあるんですよ。何年後というのを考えた時の逆算は割とできていて、不安はないんですけど、うまくスピードに乗っていたのに、なんか急に辻褄が合わなくなってきたかもって思う時は多々あります。そういう時はちょっと不安な気持ちになるので、どう対処すればいいですか?
手島:めちゃくちゃ難しいですね。ただ、「先を逆算して」っておっしゃっているのがまずすごく大事で、それがイメージできているっていう時点で、あまり大きな問題にならないだろうなとは思っています。多くの人は先のイメージが持てずに、目の前のことをこなすことで精一杯になってしまうという状態なので。とはいえ、Luvtoさんも不安があるってところですよね。
Luvto:はい。
手島:ネガティブ・ケイパビリティっていう言葉が最近言われていて、「答えや先行きが見えない状態の不安をそのままにしておいて、その状態に耐える力」っていう意味なんですよね。実は人間にとってそれが大事で、不安なまま手探りで進むからいい結果にたどり着く。不安をすぐに解消しようとすると、実はあんまり良くないんですね。

手島:極端な話が、陰謀論みたいなのに飛びついちゃう。先ほどもお話ししましたが、人間の不安って先が見えないことが原因になることが多いんですよね。先が見えないから、誰かにこの道筋がよいと言われた時に、安心したいからそれに飛びつくという習性があります。なので、不安を不安のままにしておけるっていう能力が実は大事だったりするんです。不安な時に信用できない大人がやってきて、人の不安につけ込んで、「ほら、これで解決だよ」って。
Luvto:確かに、心当たりあります(笑)。もっと若い時、自分自身の軸がなかった時代に。

手島:水で例えることがあるんですけど、水の入ったコップに泥を入れるじゃないですか。泥を取り除かなきゃと思って、かき混ぜているとずっと泥水なんですね。
Luvto:確かに……はい。
手島:どうするかというと、置いておけばいいんです。そうしたら上澄みが綺麗になってくるので。泥は不安の例えですけど、一度入った泥はなかなか消えないんですよね。SNSでなにか嫌なことを言われたらやっぱり一生ムカつくじゃないですか。消えないんだけど、置いておくことができれば綺麗なところが出てくる。ただしんどい時に、どうリフレッシュしていくかの手段は考えた方がいいかもしれないですね。
Luvto:深いですね。ありがとうございます。今の自分のペースが一番いいんだろうなっていうのはすごく感じました。僕、散歩がめっちゃ好きで。スマホの電源を切って、なんにも考えずに電車に乗ったりとか。知られていない神社を調べて行ってみたり。
手島:いいですね。リフレッシュ方法もいろいろで、人によっては休めと言われることが苦痛になる人もいます。
Luvto:わかります。止まることが嫌なこともあるので。いい歌詞が出てきているのに寝る人なんかいないんじゃないかと。
手島:健康には気をつけた方がいいけれど、サイクルに関しては自分がやりたいことができているのであれば、気にしなくていいと思います。

Luvtoさん感想
まずはこれから夢を持って番組などに挑戦していく下の世代の子たちが、不安を抱えたときに「それでもいいんだ」と思える、そんな小さな支えになれたら嬉しいです。
手島さんとお話をしてみて、不安を消そうとすることだけが、メンタルケアじゃないということが、一番印象に残りました。無理に前向きにならなくても、不安をそのまま抱えたまま過ごす日があっていい。僕自身、答えが出ない気持ちを急いで片付けようとして、余計に苦しくなることがありました。立ち止まって、不安と一緒に呼吸する時間も必要だと思います。心が追いつくまで待つことも、自分を大切にする一つの方法だと感じています。
そして僕自身は、夢を途中で手放さざるを得なかった人や、諦めたくなかった気持ちを抱えたまま立ち止まっている人たちの存在も忘れずにいたい。直接何かができなくても、その想いを胸に、少しでも前に進み続けたいと思っています。
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