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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
あの人と巡る、東京アートスポット

TaiTanとSIDE COREの邂逅 現代アートとのインスピレーションの交換

2024.10.25

アートウィーク東京

#PR #ART

交渉やコミュニケーションのプロセスが作品の価値に繋がることがある

ー暗渠も停波帯も、「一旦なかったことにする」という都市のダイナミクスを感じますね。東京は再開発が加速して、街中には暗渠以外にも幽霊的な場所やものが増えてきていると思いますが、今TaiTanさんが注目するものはありますか?

TaiTan:コロナ禍で街の各所に置かれた飛沫対策用のアクリルパネルも幽霊のように感じます。透明でありながら、たしかにそこに存在するものとして国民全員がアクリルパネルを承認している。その保守的な状態を不思議に感じていました。

今ではアクリルパネルは不要になりましたが、お店側としては撤去しようにも処理が大変でお金もかかるので、手をつけずにそのまま放置されていることが多いようです。2023年には、そういったジャンク品のアクリルパネルを集めて加工し、DosMonosのアルバムを収録して「アクリル解体盤」として販売しました。

Dos Monos『Donʼt Make Any Noise』(2023年)
グラフィックデザイナーの八木幣二郎と共同で制作、500枚限定で販売された。アルバムの音源は各所で使われなくなったアクリルパネルを加工してつくられた、アクリル解体盤内に収録。盤に埋め込まれたURLへ飛び、パスワードを入力すると、購入者限定の音源サイトへと誘導される仕様となっている。

ーTaiTanさんの『蓋』と「アクリル解体盤」、そしてSIDE COREの数多くの作品は、店舗やテレビ、街を管理する人など、さまざまな人への交渉やコミュニケーションも重要なプロセスになっているのではないでしょうか。

TaiTan:『蓋』は自らテレビ局に交渉しに行き、交渉を頑張れば、相手の規模体とかあんまり関係なくて、できないことはないという自信に繋がりました。そして交渉のプロセスをいかに大切にするかが、作品の価値に繋がることもあると思います。

SIDE COREの松下徹さんも「写真は一瞬を切り取るものではなく、写真を撮る前に流れていた時間の総体がそこに現れるのではないか」と。そして公共物に介入する作品についても同じく、交渉によって「介入できる状況を作り出したことに価値の比重が傾いている」と話してくれました。

僕がテレビ局や飲食店と、SIDE COREが行政と交渉して作品をつくってきたように、自分の人生にアートは関係ないという人たちも巻き込まなければ成立しないものがあるんですよね。どうにか交渉してものづくりをやり遂げるという事実で、どこかの誰かが自分にも何かできるかもしれないと予感してくれたら嬉しいです。割とそういう副次的な影響がうまれること自体、創作のモチベーションになってます。

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