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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
あの人と巡る、東京アートスポット

TaiTanとSIDE COREの邂逅 現代アートとのインスピレーションの交換

2024.10.25

アートウィーク東京

#PR #ART

2024年11⽉7⽇(⽊)から10⽇(⽇)まで開催される、『アートウィーク東京(AWT)』。53の美術館 / ギャラリーが参加する同イベントは、アートを気楽に多くの人に楽しんでもらえるよう、あの頃の遠足を思い出すような無料シャトルバス「AWT BUS」を約15分間隔で運行してくれています。

この連載では、そんな『AWT』を楽しみ尽くすプランをゲストと考えます。今回は、Dos Monosのラッパーであり、クリエイティブディレクターとしても活動するTaiTanが登場。音楽家である玉置周啓とのPodcast『奇奇怪怪』やTBSラジオ『脳盗』ではパーソナリティを務めるなどの活躍からは、膨大なアイデアのインプットを感じます。

「気になるアーティストがいれば展示規模や作品点数は関係なくどこへでも行く」というTaiTanと東京・ワタリウム美術館で開催中の『SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット』を訪れました。サプライズでSIDE COREのメンバーも登場し、作家本人からの解説も聞きながらの鑑賞の後で、これまでアートから得てきたインスピレーションと自身のクリエイティブについて話を聞きました。

バンクシーとの出会いから広がった、現代アートへの興味

ーTaiTanさんのアートとの出会いを教えてください。

TaiTan:目立ったきっかけはないのですが、物心ついた時から映画も音楽もテレビも演劇も手の届く場所にあり、ポップカルチャーやものづくりに強い関心がありました。やっぱりインターネット以降の世代なので、国内外のアニメや動画、クラシック音楽といった時間軸も背景もバラバラのカルチャーが、YouTubeなど統一されたプラットフォームに並ぶ風景に慣れているし、少年の頃からさまざまな情報がすぐ手に届く距離にありました。

TaiTan(タイタン)
Dos Monosのラッパー。クリエイティブディレクターとしても活動し、¥0の雑誌『magazineⅱ』やテレ東停波帯ジャック番組『蓋』、音を出さなければ全商品盗めるショップ『盗』などを手がける。Podcast『奇奇怪怪』やTBSラジオ『脳盗』ではパーソナリティもつとめる。

TaiTan:現代アートに関しては僕が中学生だった2000年代にバンクシーが現れて、彼のアクションやアートシーンでの存在感に惹かれたのを覚えています。当時は言葉では理解できていなかったですが、バンクシーの登場によって、アートの力で社会問題や環境問題にまで介入するアートアクティビズムのような流れが目立つようになり、僕の中のアートのイメージが広がったのかなと今となっては思います。

ー今日鑑賞されたSIDE COREも「都市空間における表現の拡張」をテーマに、公共空間や路上でさまざまなアクションを行ってきたアートチームですね。もともと作品はご存じでしたか?

TaiTan:SIDE COREは前から気になる存在でした。僕は、美術館やギャラリーに行くこと自体が趣味というタイプではないですが、気になるアーティストがいれば、展示の規模や作品の点数など関係なくどこへでも行きます。東京都現代美術館で開催中の『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』(※)も、SIDE COREの過去の作品を 観るのも目的のひとつでした。

※編注:東京都現代美術館で2024年8月3日(土)から11月10日(日)まで開催。高橋龍太郎という一人の精神科医が捉えた現代日本の姿を、時代に対する批評精神あふれる作家115組の代表作とともに辿る展示。

SIDE CORE(左から西広太志、高須咲恵、松下徹)とTaiTan

TaiTan:日本橋のアートホテル・BnA_WALLには、SIDE COREが手がけたスイートルームがあって、そこに宿泊した経験もあります。所々コンクリートが剥き出しだったり、床は東京の路面や壁面を3Dスキャニングして切削したという手の込んだタイルが敷き詰められていたり。ホテルというイメージとは結びつかないくらいノイジーで面白い部屋なんですよ。今回も2回目でしたが、じっくり観れてよかったです。

SIDE COREの松下徹から『empty spring』についての説明を受けるTaiTan。2020年4月、緊急事態宣言下の人がいない渋谷の街中でポルターガイスト現象を撮影した映像作品。

都内初のSIDE CORE大規模個展、TaiTanが思う見どころ

ー都内では初となるSIDE COREの大規模個展、『コンクリート・プラネット』のTaiTanさんが思う見どころを教えてください。

TaiTan:路上に無数にある看板を大量に収集して切り出し、コラージュしたという新作『東京の通り』(2024)が面白かったです。ちょっとずつデザインがずれた工事用看板をまとめて観ることで、標準規格のピクトグラムが存在しないことに気づき驚きました。

『東京の通り』(2024年)

TaiTan:東京都と福島県に設置されたライブカメラの映像から場所を特定し、実際に訪れ、そのカメラのレンズにカラーフィルターを当てて撮影した『巡礼ロードサイド』(2017)も印象に残りました。

『巡礼ロードサイド』(2017年 / 2024年再編集版)の展示風景

TaiTan:ライブカメラに映し出される異なる二つの場所がどのように繋がっているのかという視点に、映像の外への想像を掻き立てられますね。コンセプチュアルな作品でありながら、風景に物理的に「映え」を発生させるアプローチや、北野武監督作品のレンズにフィルターをかけ世界観をを作った話を意識した、という裏話にはユーモアも感じました。

ーTaiTanさんが、今日SIDE COREから受け取ったインスピレーションはどのようなものですか?

TaiTan:展覧会のタイトルにも含まれる「コンクリート」は、都市の象徴で不動のイメージがありますが、SIDE COREはその解釈を新たな視点から揺るがし、小さな物理的アクションを積み重ねて変化させていく。僕もいつも、社会の中で固定されたものや解釈に対して新しい視点から介入したいと思っているので、SIDE COREの秩序の乱し方と崩し方にインスピレーションを受けました。

『夜の息』(2024年)の展示風景 / 将来自動運転が普及すると、車にヘッドライトの必要がなくなり、街は暗闇に戻る可能性がある。そうしたストーリーから、ヘッドライトを夜景の最小単位と捉え、外の環境と美術館を繋ぐシンボルとしたとのこと。

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