11月13日(金)より東京のBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかで順次公開される映画特集『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー ラブ&デスペア』の著名人コメントとイラストビジュアルが公開された。
同特集では、日本での劇場初公開となる、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(Rainer Werner Fassbinder)監督の『少しの愛だけでも』と『デスペア 光明への旅』の2作品が上映される。公開に先駆け、音楽家の石橋英子、クリープハイプの尾崎世界観、比較文学研究者の四方田犬彦、ドイツ映画研究者の渋谷哲也からのオピニオンコメントが公開された。
グラフィックデザイナーの武田千織が手がけたイラストビジュアルは、2作品の世界観を表現したものとなっている。『デスペア 光明への旅』は「割れた鏡」をモチーフに主人公の絶望と狂気を描き、『少しの愛だけでも』は主人公が劇中で用意する「花束」に着目して2人の登場人物に寄り添うように描かれた。各劇場では、同ビジュアルを使用したステッカーが公開初日から先着順で配布される。


さらに、11月15日(日)にはBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で『デスペア 光明への旅』の上映後にトークイベントが開催される。ドイツ映画研究者である渋谷が登壇し、ファスビンダー作品の魅力や映画史的な位置づけについて語る予定だ。また、各劇場で販売されるパンフレットには、五所純子、児玉美月、真魚八重子、柳下毅一郎、渋谷らによる作品解説が収録されている。
コメント一覧(全文)
石橋英子(音楽家)
一緒にいたい、気に留めてもらいたい、認めてほしい。そのために働き、お金を使う。どこにも行けないブラックホールのような室内の中でそれを愛とすり替えてしまう人間の生活をファスビンダーは映画の中で描き続けてきた。バーでは男も男の手を口に咥えている女も固まって動かない。‘愛’は決して流れていかない。利用し合う人間の免罪符として宙吊りになっている。(『少しの愛だけでも』)
主人公の主観の中では完璧に成立するはずの世界が、他者にとってはまったく成立しない。そのずれを一つ一つ見せていく様が美しい。この映画がゴッホに捧げられているのは、「成立しない」世界を生き抜いた人間への賛美か、故に自己破壊へと向かわざるを得なかった人間への追悼なのか。ファスビンダー晩年の最高傑作の一つと言ってもよいと思う。(『デスペア 光明への旅』)尾崎世界観(クリープハイプ / ミュージシャン、作家)
2作とも、まっすぐな人間が、まっすぐに描かれている。あまりにもまっすぐ過ぎるせいで、彼らは次第に自分自身に呑まていく。そこに救いはないけれど、ある意味で、それ自体が救いだったのかもしれない。これでもう楽になったんだな、と彼らを祝福したいような気持ちにすらなる。そんな風に、あっち側に行った人を、こっち側から眺めているつもりでも、気づけばそこを踏み越えてしまっている。だから映画は時に恐ろしい。四方田犬彦(映画誌・比較文学研究)
ファスビンダーが紅茶に砂糖を入れて差し出しても、誰も手を付けようとしなかった。直前に彼が何に触っていたか、知っているからだ。汚れたる者はさらに汚れたることをなせよ。これがこの呪われた監督の教えだった。渋谷哲也(日本大学文理学部教授 / ドイツ映画研究)
ただ愛してほしい——それはささやかな願いなのか、過大な要求なのか。だが手段を知らないペーターは、愛を買うために無理な行動を重ね、欺瞞の泥沼にはまり込んでゆく。あまりにも痛ましいファスビンダーの隠れた傑作。(『少しの愛だけでも』)
特集『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー ラブ&デスペア』
上映作品:『少しの愛だけでも』『デスペア 光明への旅』
公開情報 :11月13日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか順次公開
配給:アイ・ヴィー・シー
宣伝協力:XHORA
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『少しの愛だけでも』
出演:ヴィートス・ツェプリヒャール、エルケ・アーベルレ、アレクサンダー・アラーゾン ほか
1975-76年 | 西ドイツ | カラー | 105分 | 4:3 | DCP
『デスペア 光明への旅』
出演:ダーク・ボガード、アンドレア・フェレオル、クラウス・レーヴィッチェ ほか
1978年 | 西ドイツ・フランス | カラー | 121分 | 16:9 | DCP
1978年カンヌ国際映画祭パルムドール ノミネート
1978年ドイツ映画賞 監督賞、撮影賞、美術賞受賞
<入場者特典>
特典:イラストビジュアルステッカー
配布期間:11月13日(金)〜 ※先着順、なくなり次第終了
配布劇場:各公開劇場 ※配布状況などの詳細は各劇場にお問い合わせください。
<劇場パンフレット>
「ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『少しの愛だけでも』『デスペア 光明への旅』劇場販売パンフレット」
価格:1000円(税込)
作品解説執筆者:五所純子(作家・文筆家)、児玉美月(映画批評家)、真魚八重子(映画評論家)、柳下毅一郎(映画評論家・特殊翻訳家)、渋谷哲也(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)
<公開記念トークイベント>
日時:11月15日(日)『デスペア 光明への旅』上映後
会場:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
登壇者:渋谷哲也(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)
※上映時間などの詳細は後日、公式サイトおよび公式SNSにてお知らせいたします。