映画『かがみの孤城』が、フランスで開催中のアヌシー国際アニメーション映画祭のコンペティション部門に選出され、6月12日に公式上映された。
同作は、2018年本屋大賞を史上最多得票数で受賞した辻村深月のベストセラー小説を、當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、芦田愛菜、宮﨑あおいなど豪華声優陣を迎え劇場アニメ化したもの。監督を務めたのは、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』『カラフル』などで知られる原恵一。
上映は同映画祭最大のホールであるgrande salleで行われ、上映前には渡仏した原恵一監督が舞台挨拶を行った。
原恵一監督 舞台挨拶スピーチ全文
またここに戻って来れて嬉しいです。
今からお話をさせていただきます。
この数字を見てください。
昨年、日本では514人の子供たちが自ら命を絶ちました。
小学生や中学生、高校生の子供たちです。
1980年に統計を開始してから、過去最多の数字となりました。
なぜ彼らはそんな結末を選んでしまったのでしょうか?
学校や日本社会に、絶望したに違いありません。
彼らは途方もない痛みの中、一人きりで逝ってしまったのです。
私たちは、514の未来を失いました。
私たち日本人全員が、その責任を負っています。もちろん、私もです。
私には彼らを止める術が分かりません。
私はメンターではなく、ただの映画監督です。
でも、私は映画の力を信じています。
映画には人の人生を変える力があります。
この映画はフィクションで、ファンタジーですが、多くの事実も含まれています。
もちろん、人生は甘いものではなく、公平ではありません。
しかし、人生は時に美しく、時に素晴らしいものです。
そして時に人生は、私たちに最高の瞬間を与えてくれます。
子供たちへ
君たちはこの馬鹿げた世界で生きています。
でも、どうか恐れないで。君たちは一人じゃない。
君たちの帰りを待っている人がいるのです。
さあ、鏡の向こう側に行こう。
授賞式は現地時間6月17日20時より開始される。