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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

古舘佑太郎×山口一郎トークイベント完全採録「本気を通り越して狂気の人間になれ」

2025.4.23

#BOOK

本気を通り越して狂気になった人間が頭一つ抜けてくる

山口:僕、伊丹十三監督がすごく好きなんですよ。『マルサの女』『スーパーの女』『お葬式』とかね。伊丹十三さんって、文筆家でもあり、役者でもあり、最終的に50歳を超えて映画監督になった人なんです。奥様の宮本信子さんが僕と同じ北海道小樽市出身で、そういうところでも勝手に縁を感じていて。作品も好きだし、彼の本もたくさん読んできました。

でね、伊丹十三さんって、もともとは伊丹一三って芸名だったの。それを「マイナスをプラスに変える」っていう意味で「十三」に変えたんだって。すごい決意があったと思う。彼は映画監督になる前に、色んな仕事をコツコツとこなして、自分自身をストイックに掘って行って、だからこそ映画監督になった時にあの世界観が構築できたわけじゃん。

で、古くんの話なんだけどさ。いま、ミュージシャン? 作家? 役者? って、どれも足先だけ突っ込んでちゃぷちゃぷやってる感じじゃん。お前は一体何者なんだって、そろそろちゃんと決めたほうがいいよ。一生その道をやるってことじゃなくてもいいんだよ。ただ、まずは一回、ちゃんと軸を決めるべきだって前にサウナでも言ったじゃん。

古舘:はい、言われましたね。

山口:その話したあとに「サウナ上がるぞ」って言ったら、「僕、もう1セット入ります!」って残ったよな、サウナに。

(会場笑)

古舘:もう1セット、入ってしまいました(笑)。

満員御礼の会場。参加者は時に真剣に、時に和やかに聞き入っていた。

山口:そういうところだぞ(笑)。この本は素晴らしいと思うし、文才もあると思う。本を書くってことは、古くんにとってライフワークになる可能性があると思うんだよ。これからどんなものを書いていくのか、ここに来てくれてる人たちも楽しみにしてるし、俺もすごく楽しみにしてる。でも俺はミュージシャンとしても才能があると思ってる。こうして本を出したりドラマや映画に出たりしてもっと名前が知られていけばさ、たくさんの人に音楽も聴いてもらえるチャンスが増えるじゃん。だからまずは自分をちゃんと売っていったほうがいい。

みんな、仕事も勉強も、本気でやってるじゃん。でも、本気を通り越して狂気になった人間が、やっぱり頭一つ抜けてくるんだよ。だからこそいま、この本を出したこのタイミングで、狂気の域まで足元を固めるべきだと思う。

古舘:ちょっといま、汗止まんないんですけど……。旅に行ってこの本を出したことで、一郎さんが前に言ってくれてたことの意味が、いますごく解像度高くわかってきてるんですよ。でも、「自分は何者なんだろう?」ってすごく混沌としてる状態なんです。だから、いますぐなにかに飛びつくんじゃなくて、もう少し模索したいんです。本当に「これだ!」って思えるなにかを探してるタイミングでもあるというか。

山口:何年その話してんだよ。俺、10年間ずっと同じこと言ってるぞ。

インド北部レー。月面世界のような景色。ゲストハウスでレンタルしたオートバイ。降りる時にバランスを崩して右足を負傷。 

古舘:でも去年ようやく気づいたんで、まだ「1年目」なんですよ。僕のこと小学1年生だと思ってください。で、いまちょうど2年生になったくらいです。卒業までまだ6年ある。だからいまはまだ「これだ!」って言えるものはないんですけど、いつか一郎さんの家を訪ねて「これを見てください!」って、パッと机の上に出せるような作品を持って行きたいんです。

山口:とりあえず役者に集中しろよ。アコースティックライブとかもうやめろ。

古舘:ちょっと待ってくださいよ……!

山口:本気で、役者としてどうなりたいのかとか、役に向き合う準備とか、ちゃんと考えてみてほしい。俺だって音楽やる時、声が低かったけど高くするために練習したし、歌詞も何回も何回も書き直して、毎日一生懸命トライアンドエラーで努力したよ。それを努力だとは思ってなかったけど、楽しいからできた。

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