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最終回まで謎を仕掛け続ける構成

先の記事でも書いた通り、本作で描かれているのは、なんの変哲もない故郷への誇りや愛情、友情。端島という独特の環境のなかでそれらが繰り広げられることで新鮮には映るものの、どちらかというとベタ寄りの作品だ。それでも、続きが早く見たいと思わせられるのは、常に謎が仕掛けられ続ける構成になっているからだろう。
第5話までは「いづみはリナ、百合子、朝子のうちの誰なのか」という謎が物語を牽引。後半は、池ケ谷の姓を持つのは誰なのか、小舟で海を渡るリナの姿の意味、鉄平の行方、日記の一部を改ざんしたのは誰か、という謎が物語を引っ張っている。謎を小出しにして、解決につながったら、次の謎を提示する。こうした構造も本作の欠かせない魅力なのだ。
第8話で池ケ谷の姓を持つ朝子の結婚相手が明かされたとはいえ、大きな謎は残ったままだ。鉄平はなぜ朝子を置いてリナと共に端島を出たのか、端島の人々と玲央はどうつながるのか。リナの本名や玲央の本名も、謎を解く鍵になりそうだ。