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ドラマ『東京サラダボウル』が描く外国人居住者と日本人の間の線

2025.2.11

#MOVIE

©NHK

多文化が共存する「サラダボウル」東京を描いたドラマ

歌舞伎町の人々と親しげな鴻田麻里(奈緒)と距離を取る有木野了(松田龍平)©NHK
歌舞伎町の人々と親しげな鴻田麻里(奈緒)と距離を取る有木野了(松田龍平)©NHK

NHKドラマ10で放送中の『東京サラダボウル』は、複数回ドラマ化もされた傑作漫画『クロサギ』(小学館)を描いた黒丸による漫画『東京サラダボウル―国際捜査事件簿―』(講談社)を原作に、映画『サバカンSABAKAN』、Netflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』、そして現在放送中のドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)などの金沢知樹が脚本を手掛けた作品である。困っている人を放っておけず、見落とされがちな小さな事件と真っ直ぐに向き合う鴻田麻里と有木野了のコンビが、日本社会からこぼれ落ちそうな人生を拾っていく。

緑色の髪が印象的な奈緒は、その柔らかい笑顔と弾むような声色で、誰に対しても平等で、いつもあっけらかんと心を開いている鴻田麻里という役柄を好演し、誰もが好きにならずにはいられない魅力を振りまいている。対して、最近ではNetflixドラマ『阿修羅のごとく』の勝又役の好演も光った松田龍平は、悲しい過去を背負いつつ、鴻田に影響されてゆっくりと本来の自分を取り戻していく有木野の姿を、滲み出る優しさと誠実さとともに体現する。

ベトナム語の通訳人・今井もみじ(武田玲奈)©NHK
ベトナム語の通訳人・今井もみじ(武田玲奈)©NHK

「東京都のさ、外国人居住者の割合って知ってる? 4.8%。パーセンテージだと、たったそれだけ。でも、人数で言うと68万人だよ。それだけの人生が確かにあるんだよ」という第1話の鴻田の台詞が、東京の今を、そして第5話のベトナム語の通訳人・今井もみじ(武田玲奈)の台詞が、変わりゆくこれからの日本の展望を示すように、テレビドラマにおいても、多文化が共存する「サラダボウル」となっている都市・東京を描いたドラマ、あるいは外国人居住者と日本人の関係性を描いたドラマは最近、増えている。2024年放送だけでも、新宿・歌舞伎町を舞台にした『新宿野戦病院』(フジテレビ系)や新宿の定時制高校を舞台にした『宙わたる教室』(NHK総合)。そして、本作第2話にもスリランカ料理店の店員役で出演したオミラ・シャクティがスリランカ人の「クマさん」ことクマラ役を好演した2023年放送ドラマ『やさしい猫』(NHK総合)も外国人居住者と日本人の関係性を描いた優れたドラマだった。

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