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アカデミー賞10部門ノミネート『ブルータリスト』が映し出す創造の光と影

2025.2.22

#MOVIE

俳優監督としての手腕ーーコーベットが生み出した演技賞ノミネートの名演

多くの俳優監督同様、コーベットも役者へのディレクションに秀でた作家だ。監督デビュー作からロバート・パティンソンら演技派スターを迎えてきた彼は、『ブルータリスト』で3名を演技賞ノミネートに送り込んでいる(今回のアカデミー賞では『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』と並ぶ最多)。中でも『戦場のピアニスト』以来22年ぶりのノミネートとなるエイドリアン・ブロディは、主演男優賞の本命だ。彼は再び流転のユダヤ人に扮し、より複雑な人物像を作り上げている。主人公ラースローはハンガリーで名を成したブルータリズム建築家であり、正義や自由、愛よりも普遍の美を求める天才ゆえの純粋さは、観客の安易な感情移入を許さない。しかし、そこには限られた者だけが持つカリスマ性も放たれているのだ。

渡米後、一労働者に身を落としたラースローの才能を見出すのがガイ・ピアース演じる大富豪ヴァン・ビューレン。映画ファンには『LAコンフィデンシャル』『メメント』が語り草の名性格俳優は、意外にも今回が初のオスカー候補。ヴァン・ビューレンは類まれな資産家だけに備わる特権性と俗悪さを合わせ持ち、一大プロジェクトを担うラースローの才能に所有欲を募らせていく。資本家と芸術家という均衡から夫ラースローを遠ざけようとするエルジェーベトを演じるのはフェリシティ・ジョーンズ。第2部に入って初登場する彼女は、『ブルータリスト』を司る三位一体の一翼だ。

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