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【解説】Spotifyが日本の音楽業界への支払いや還元について年次レポートで初公表

2024.5.24

#MUSIC

誕生から15年、音楽産業にとって欠かせない存在となったストリーミングサービスのこれから

ただ、Spotifyと著作権をめぐる論争は、定期的に勃発している。

2023年11月には南米・ウルグアイの著作権法改正をめぐり、Spotifyは権利者に追加の支払いが発生してビジネスを維持できなくなる可能性があるとして、同国でのサービスを2024年初頭に停止する声明を発表。しかし、同年12月に懸念していた改正部分が明確化されたとして、2024年でもサービスを継続している。

2024年5月には、米国著作権局によって指定された非営利団体・MLC(Mechanical Licensing Collective)がSpotifyを提訴。オーディオブック聴収の追加に伴う有料プランの再分類により、音楽出版社やソングライターに対するロイヤリティレートが減少するとMLCは主張しており、賠償などを求めている。また、同時期には全米音楽出版社協会(NMPA / National Music Publishers’ Association)が、Spotifyが適切なライセンスを取得せず作品を使用していると主張しているほか、The Wall Street Journalで開発中と報じられたユーザーが楽曲をスピードアップ / マッシュアップ / 編集できる「リミックス」機能に対する懸念と警告を表明している。

2008年にスウェーデンで産声をあげ、2016年に日本でもサービスを開始、現在は200以上の国と地域でサービスを展開しているSpotify。注目の次世代アーティストを発表 / 支援するプログラム「RADAR: Early Noise」を展開するなど、日本でもストリーミングサービスとして着実に存在感を増している。

音楽業界の構造に大きな変化をもたらした革命的なグローバルサービスであるが故に、展開する国によっては法的な軋轢が生じてしまうこともあるだろう。ときには古き慣習と戦わねばならない場面もあるに違いないが、業界を破壊するのではなく、様々な立場の意見に耳を傾け、今後も積極的に情報を公開しながら、各国の音楽産業を成長させていく一助として役割を果たしていくことを期待したい。

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