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台湾土着の言葉を新鮮に届けたい
ーそうした「台湾語が自らのアイデンティティを表現できる認識」は、台湾語を話せる多くの方が持っているのでしょうか?
ウェニ:日本だと想像しづらいと思うんだけれど、台湾は小さな国土に多民族・多言語が共存していて、一人ひとりの中に「台湾文化」があり、どれが正解・間違っているというものはないんです。音楽に例えると、色んな楽器が集まって、ひとつのサウンドができるバンドとちょっと似ているかも(笑)。

ー価値観が多様になる中で、Sorry Youthが共感を集めて、バンドを成長させていくのは苦労があったと思います。土着文化の保存という文脈だけではリスナーが限られてしまう懸念もある中で、ロックバンドとしてどんな方向性を目指していますか。
ジャン・ジャン:台湾のロック音楽と、現代的な音楽ジャンルを掛け合わせて、新しい響きを生みだせるように考え続けています。今回は『Noise Apartment』では、トリップホップとシンセウェーブに台湾語の歌詞を組み合わせました。更にオリビア・ツァオとイーノ・チェンの歌声が入ることで、新鮮な響きにできたのかなと。
チュンハン:台湾語を新しいものとして見せていく工夫は常に考えているよね。昔生まれた単語を新しい音楽で使うときに、どんな使い方をすればストーリーを描けるのか、試行錯誤を続けています。
ウェニ:歌詞以前に、常に新しい挑戦はしていきたいなと。時間がある時には、あえてラインナップを見ずにライブハウスに行って新しい刺激を受けるなど、情報収集を怠らないようにしています。8月に台北ミュージックセンターで行ったライブはバンド史上一番大きな会場で、成長した姿を多くの方に見てもらえる貴重な機会だったのですが、今後は違う形でのライブや表現も考えています。