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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

隈研吾に訊く、生成AIや過剰性の時代。建築やクリエイターは何ができる?

2025.2.20

SEKISUI HOUSE – KUMA LAB

#PR #ART

「過剰性のニワを設計する3つのステップ

プロジェクトの最初のステップでは、画像生成AI(Stable Diffusion / FLUX)を活用し、個々の無意識に潜むオブセッション(強迫観念)を可視化した。従来の建築の根拠となってきた機能性や経済性、政治的合理性ではなく、個人の奥底にあるオブセッションを設計の出発点とする、新たなアプローチだ。

これは、これまで「個人的なもの」とされてきたオブセッションに深く入り込むことこそ、現代における共有可能な美学の鍵となるのではないか、という仮説に基づいている。実際に、シュルレアリズムの自動記述の実験では、無意識に深く潜るにつれて筆記に現れる言葉から「私」のような主語が消え、個人的な意識を超えた集合的無意識へと接続されていくことが示唆されている。この探究の先に、過剰性の時代における新たな価値観として「情報量の膨大さの美学」を見出せないかと考えたわけだ。

続いて、各自のオブセッションを小さな「箱庭」の世界に落とし込む。古来より、心理療法の手法のひとつとして知られ、無意識のイメージを外在化し、客観視するために用いられた箱庭。ここでは画像生成AIに加え、3Dモデル生成AI(Marigold、Stable Fast 3D)を用いて、デジタルとフィジカルの狭間にある「過剰な世界」の構造を考えた。

制作した「箱庭」について鑑賞者からの質問に答える学生

最後に、学生たち一人ひとりが箱庭を基に、スケールや敷地に制約を設けず、「過剰性のニワ」を構築。デジタルとフィジカルの両面からアプローチし、断片化された世界を新たな形で結び直すことで、未来の世界の在り方を模索した。

生成AIを使って作成した旅行のジャーナルの説明をするフランスの学生
書籍『マルコ・ポーロの見えない都市』を参考に人間と自然のバランスについて考える作品を発表した中国の学生
学生たちの作品は、3月13日(木)から東急プラザ原宿ハラカドで開催される『「EXCESS」ー過剰性の時代に建築はAIと何ができる?ー』で展示される(オフィシャルサイト)。

学生たちの最終講評を終えた後、平野利樹が隈研吾にインタビューする形式で、生成AI時代の建築の役割や人間とAIの関係性、これからの「豊かさ」について対談が行われた。

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