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普通の人々が「自己責任」で犯罪者になるドラマ『3000万』の行く末

2024.11.23

#MOVIE

『3000万』©NHK
『3000万』©NHK

普通」の人ばかりに見える犯罪グループ

「タタキ」の片棒を担がされる祐子(安達祐実)©NHK
「タタキ」の片棒を担がされる祐子(安達祐実)©NHK

祐子たちを震え上がらせた犯罪組織の指揮役・坂本(木原勝利)も同じだ。犯罪者ということを除けば(それが最大の問題ではあるが)、坂本の日常は驚くほどに「普通」なのである。むしろ勤勉な一面もあり、筋トレや写経に励み、アンガーマネジメントの研修に悪戦苦闘しながら、組織内での自分の在り方に悩んでいる。坂本が組織に入った詳しい経緯は明かされていないが、彼もまた根っからの悪人ではなく、些細な選択を誤っただけの人間なのかもしれない。

しかし一方で、「普通」の顔を装いながら善良な人々に忍び寄るのが、狡猾な現代の犯罪組織だ。3000万円の一部を使ったことが坂本たちにバレた祐子は、返済のために、強盗グループの情報収集――いわゆる「タタキ」の片棒を担ぐ羽目になる。恐る恐る現場を訪れてみると、電話をかける「かけ子」部門を取りまとめる末次(内田健司)は好青年風の見た目。ドーナツを差し入れてくれるなど親しげな態度を見せ、自由に休みを申請できる環境は、かつて祐子が働いていたコールセンターよりもむしろ好条件に思えてしまうのが皮肉だ。

さらに第7話のクライマックスでは、犯罪グループの頂点に立つと思われる黒幕が明らかになる。「犯罪者は決して特別な存在ではない」というメッセージを体現するかのように、思いもよらない人物が浮上するのだ。

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