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普通の人々が「自己責任」で犯罪者になるドラマ『3000万』の行く末

2024.11.23

#MOVIE

『3000万』©NHK
『3000万』©NHK

「世界を席巻するドラマを作る」WDRプロジェクトの第1作目

ソラ(森田想)©NHK
ソラ(森田想)©NHK

さて、ドラマ『3000万』を語る上で忘れてはならないのが、NHKの脚本開発プロジェクト・WDR(Writers’ Development Room)だ。「世界を席巻するドラマを作る」をテーマに立ち上げられたWDRプロジェクトは、応募人数2025名の中から、さまざまなバックグラウンドを持つ10名を選抜。海外ドラマなどの研究を重ね、各々がプロットを書き、その中から選ばれた1作をチームで共同執筆する。こうして生まれたWDRプロジェクトの第1作目が『3000万』だ。本作は、原案を書いた弥重早希子の他、名嘉友美、山口智之、松井周の計4名が脚本を担当している。

「ある日突然3000万円もの大金を手にしたせいで、歯車が狂いはじめる」という筋書きだけを見ると、現実とはかけ離れた突飛な物語のように感じるかもしれない。しかし、最高潮にスリリングな物語の中で、『3000万』は「犯罪者は決して特別な存在ではない」と警鐘を鳴らしつづけている。罪を重ねていく祐子たちが、一見どこにでもいる「普通の人」として描かれているのも、このメッセージを強調するためだろう。

たとえば、全ての元凶となったソラ(森田想)。彼女の罪も断じて許されるものではないが、闇稼業に足を踏み入れた背景には、亡き祖母への想いがある。犯罪グループに3000万円を奪われたソラの祖母は、自責の念にかられ、自ら命を絶ってしまったのだ。大好きな祖母のために3000万円を取り返したい。そう簡単に得られる額ではないのは明らかだ。さらに第4話では、ソラの本名が「美姫」だと判明する。それは目の前にいる犯罪者が、自分が愛している息子と同じように、親から望まれて生まれてきた子供だということを、祐子が察するシーンでもあった。

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