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映画『侍タイムスリッパー』が大躍進 たった1館の劇場から全国に拡大した理由

2024.9.24

#MOVIE

©2024未来映画社

『カメラを止めるな!』と符合する要素

超小規模の公開だったインディーズ映画ながら、SNSでの口コミで上映劇場が劇的に拡大したことから、『カメラを止めるな!』を思い出す人は多いだろう。そのムーブメントや、笑えて泣けるコメディドラマであること以上に、『カメラを止めるな!』と『侍タイムスリッパー』は符合するところが多い。

第一に、「カメラを回して作品を撮る」構造があることだ。『カメラを止めるな!』はゾンビ映画に、『侍タイムスリッパー』は時代劇に挑む様がそれぞれ面白く、何より俳優やスタッフの奮闘が、そのまま劇中の役にシンクロしている。ある種メタフィクション的な構造をもって、現実にもいる映像作品の「作り手」に敬意と愛情を捧げているのだ。

『侍タイムスリッパー』場面写真 ©2024未来映画社

また、『カメラを止めるな!』は「ゾンビ映画」というジャンルだけを取り出せば残酷で人を選びそうにも思えるが、作品構造上「血も血糊の作り物ですよ」と示すアフターケアがあるおかげもあって、子どもにもおすすめできる内容となっていた。

今回の『侍タイムスリッパー』は前述した通りのキャッチーさのためにさらに老若男女に勧めやすいのだが、一方で容赦なく斬り合う侍の残酷さに向き合う場面もあり、それを映像作品として作る上での、いい意味での「正しくなさ」を含めて提示している。それに付随する終盤のとある演出は驚ける以上に、「創作」にまつわる物語を提示する上で非常に重要な視点を与えてくれる。

しかも、創作上で映し出される血もまた重要であり、異なる理由でありながらも「カメラを回し続ける」と宣言する様も一致している。実際に『侍タイムスリッパー』を手掛けた安田淳一監督は「『カメラを止めるな!』を目指して作った」とも語っており、間違いなくそのトリビュートでもあるのだ。

『侍タイムスリッパー』場面写真 ©2024未来映画社

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