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最終話において「あの男」にどこに連れて行かれるのか

一方で、そんな「あの男」を怪異の類ではなく生身の人間として引きずり出そうとしているのが、中村アン演じる刑事・堂本である。「真相究明を急ぐ者は、まず第一に犯行の“理由”を発見せねばならない」という父(中村育二)の教えを信じ、「人は理由もなく死なない」「悪意のない殺人なんてものは存在しない」という信念のもと、その揺るぎない眼差しは、一見バラバラの事件を繋げていき、第5話での先輩・飯田の思わぬアシストとその果ての悲劇を経て、若手刑事・菊池大貴(宮近海斗)とともに、いよいよ核心に辿りつこうとしている。いついかなる時にも「記念写真」には決して写ろうとしない男は、第2話で「毎週日曜日にウナギ弁当を必ず食べずにはいられないほどのウナギ好き」だったにも関わらず、第3話では「ウナギが食べられない」のだと話し、一方で、第3話の被害者である伊織の趣味でもあった「苔の収集」に第4話ではハマっているという、不気味な一面を垣間見せたりもする。
遂に第1話から第5話まで連続して登場してきた刑事たちの日常にまで侵食して来た男は、これ以上どこに登場するのかと思いきや、第6話では主婦・岡橋美佐江(坂井真紀)が通う市民プールに明るい表情で登場してきそうなのがなんとも面白い。果たして彼は本当に人間か。それとも「災」そのものなのか。最終話において、私たち視聴者は一体どこに連れていかれるのだろう。
『連続ドラマW 災』

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