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令和ならではのリーガルドラマ『モンスター』が描く、もう一つの「モンスター」

2024.12.23

#MOVIE

『モンスター』©カンテレ

同業の道に進む娘と父との関係を描く新しさ

第9話で「四季の森美術館」を訪れた亮子と絵画の前にいた一人の男(近藤芳正)©カンテレ
第9話で「四季の森美術館」を訪れた亮子と絵画の前にいた一人の男(近藤芳正)©カンテレ

第9話以降は、亮子が12年間失踪中だった弁護士である父・粒来の12年間の空白の謎を追う形で話が進む。第8話で描かれた闇バイト組織の通称「キング」と粒来の接点を調べるべく、事務所で読んでいた資料の中に、「四季の森美術館」という文字を見つけた亮子は、急遽、休暇を申請し、群馬県にある四季の森美術館に向かう。彼女にとって、父の不在の理由を突き止めることこそが弁護士になった理由と思わせるような行動力だ。

同性の親子が同業の道を進み、親子間でのバトルや確執を描くようなドラマや映画は数多くあったが、父と娘の関係におけるそれは珍しいと言えるだろう。リアルサウンド映画部のこちらの記事で言及されている通り、父娘の関係を主軸として描いたドラマは今年2024年冬期のドラマに多かった。同じくカンテレ制作の月曜22時ドラマ『春になったら』や、『厨房のありす』(日本テレビ系)、そして、今年の流行語にもなった『不適切にもほどがある!』(TBS系)などもあるが、同業の父娘関係を描いたドラマとなると、日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)がある。しかし、『さよならマエストロ』では、夫婦関係は破綻に近づいているものの母親は健在だったが、『モンスター』では、亮子が小さい頃に母親は亡くなっている。父が失踪した高校時代から自立して生きていかざるを得なかった亮子。幼少期は仕事場につきっきりで父の側を離れなかった彼女にとって、思春期を迎えたとは言え、大いに傷つく経験であったことだろう。

先の記事では、「女性の社会進出によって、家事を担当する母親だけでなく働く父親としての役割も求められるようになっている」と言及があった。同じく趣里が主演した朝ドラ『ブギウギ』で「母親としての役割を果たすと同時に、父親として振る舞うことが求められるようになっていく」主人公(続く朝ドラ『虎に翼』の主人公もそうだった)が描かれた延長線上で、本作のように、父のような道に進む娘が当たり前に描かれるようになってきたことには新しさを感じる。

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