メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

梅井美咲、ロングインタビュー。ピアノが第一言語の22歳は、ボーダーレスな旅の途中

2024.6.26

梅井美咲

#PR #MUSIC

人と演奏する楽しさに夢中になった高校時代

ー小中高とずっと音楽漬けでやってきて、「ちょっとしんどいかも」みたいに思ったことはないですか?

梅井:ないですね。音楽以外のことは基本すごく飽き性で、何をやっても続かないんですけど、音楽に関してはやめたいと思ったことがなくて。中学生ぐらいのときから「私は多分音楽をやって生きていくんだな」と思っていたから、進路で迷うことも全然なかったし、今もその気持ちは全く変わってないですね。

ーそれこそ何かのジャンルに限定するのではなく、自由に活動してこれたことも大きいでしょうね。

梅井:すごく大きいと思います。仮に「クラシックのピアニストになりたい」と決めていたら、どこかで急に「もういいや」ってなっていたかもしれない。実際そういう友達がいたんですよ。毎年全国大会で優勝するような子だったんですけど、ある日突然「もう満足しちゃったから」みたいな感じでやめちゃって。「満足する」って怖いなって、そのときに思いました。私はその子の演奏がすごく好きだったから、もっと聴きたかったし、でも人それぞれ満足しちゃうタイミングがあるんだなって……私は今のところなさそうです(笑)。

ーむしろ活動がどんどん広がり続けていますよね。それこそ高校に入ってからは、学外の活動も活発になって、『BLUE GIANT NIGHTS』でブルーノートに出たり、バークリーの夏季プログラムに参加したり、いろんなことが一気に始まったと思うんですけど、高校時代で特に印象的だったことを挙げてもらえますか?

梅井:教室にグランドピアノがあったんですよ。そこでクラスの子たちとみんなで演奏し合って、“くちびるに歌を”を合唱をした時間はすごく思い出深いですね。40人のクラスで『天使にラブ・ソングを2』(1993年)みたいなことが目の前で起こったわけですよ(笑)。それはすごい衝撃体験でした。

ー高校に入って、音楽を共有する喜びを味わえたと。

梅井:それまで1人で完結していたものを、誰かと共有するようになったり、人と演奏することに楽しさを覚えていった時期で、すごく大きな転機でしたね。1人で演奏するのに飽きちゃって、高校に入ってからジャズをやり始めて、セッションに通いだして、学校でもアンサンブルをやるようになったんです。

ーそうやってセッションやるようになって、それが2018年の『BLUE GIANT NIGHTS』にもつながったわけですね。

梅井:『BLUE GIANT NIGHTS』に出たときは、セッションをやりだしてまだ1年も経たない時期だったから、いきなり大きい舞台にあげていただけて、すごくびっくりして、「わからないなりにやってみよう!」みたいな感じで。だから正直記憶もあんまりないというか、1ステージ1ステージをどうにかやり遂げるのに精一杯で、本当によくわからないままにいろんなことに挑戦していたなと思います。

―高3のときに梅井美咲トリオとしてアルバム『humoresque』も作っていますが、編成はジャズ寄りだけど、和声はクラシックっぽさもあり、やはりどっちの要素もあるのが梅井さんらしいなと感じました。

梅井:ピアノトリオのアルバムを作るぞってなったんですけど、ビッグバンドとかオーケストラでも成り立つような曲であればいいなと思いながら作りました。それが「ジャンルが限定できない」というところに繋がっているのかなと思います。

―昨年北村蕗さんをフィーチャーしてソロ名義でリリースした“hannah”という曲名は、バークリー時代のルームメイトの名前だそうですね。

梅井:私の英語が流暢じゃなかったから、その子がすごく親身になっていろんなところで助けてくれて。留学が終わってからもよく連絡を取っていたんですけど、ある時急に音信不通になっちゃったんですよ。彼女はSNSもやってなかったので、何があったのかよくわからなくて。それが辛かったのが、創作のモチベーションになりました。

ーソロは自分のパーソナルな感情が曲のインスピレーション源になることが多い?

梅井:そうだと思います。なので、自分で完結できるところはしたいっていう気持ちが大きくて、“hannah”は初めて自分でちゃんとトラックを作ったんですけど、変なスイッチが入って2週間くらいで一気に完成させました。そこからトラックメイクも楽しくなって。ちょっと前に吉澤嘉代子さんとtanakadaisuke『24A/W Collection』の曲を作ったのもすごく楽しかったです。譜面を書くのと使う頭が全然違うから、もっとやりたいなって思いました。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS