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映画『ミッキー17』レビュー ポン・ジュノはSFでも格差を皮肉で炙り出す

2025.3.27

#MOVIE

ポン・ジュノが描く権力者像

物語は中盤で、ブラックコメディから大きくジャンルを飛び越える。使い捨て労働者として権力者に搾取されるミッキー(16回目の生き返りなのでミッキー17)の前に現れたのは、まさかのもう一人の自分。ミッキー18だった。ある理由から複数コピーされてしまったミッキー。同一人物のクローンは法律で禁止されており、処分の対象となってしまう。これ以上、使い捨てられてたまるか! 二人のミッキーによる権力者への反逆が始まるのだ。

手違いで同時に存在することになってしまったミッキー17とミッキー18

ミッキーたち労働者を搾取する企業のボス、マーシャル(マーク・ラファロ)の造形も、原作から大きく改変されている。原作で厳格な司令官だったマーシャルが、映画においては過剰なほど滑稽に描写され、コミカルな独裁者となっているのだ。

ポン・ジュノ監督は『スノーピアサー』でのティルダ・スウィントン演じるメイソンや、『Okja/オクジャ』での、やはりティルダ・スウィントン演じるルーシー・ミランドといった権力者を、エキセントリックな演技で作り上げてきたが、本作のマーシャルと妻イルファ(トニ・コレット)はその系譜だと言える。ポン・ジュノ監督らしい「支配階級」への皮肉満載の視点を見てとれる。

企業のボス、マーシャル(左)とその妻イルファ(右)

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