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映画『ミッキー17』レビュー ポン・ジュノはSFでも格差を皮肉で炙り出す

2025.3.27

#MOVIE

ブラックコメディ要素を際立たせた原作からの改変

本作『ミッキー17』の原作はエドワード・アシュトンによる2022年の小説『ミッキー7』だ。原作小説のタイトルが「7」で、映画版のタイトルが「17」なので少し混乱するが、この数字はミッキーの「死亡 / 生き返り」回数(通し番号)を表しており、映画版のミッキーの方が10回も多く死んでいる。映画冒頭では余りにも無茶な業務でミッキーが次々と死亡していく様子をテンポ良くコミカルに描いており、不謹慎ながら笑いが漏れてしまう。このミッキーの死亡回数の大幅増加からも見てとれるように、映画版では原作のブラックコメディ要素をかなり強調させている。

また原作『ミッキー7』にあったギリシャ神話「テセウスの船」の引用から語られる「生き返った自分は死ぬ前の自分と同じ人間と言えるのか?」といった「死」についての考察・哲学は省略されており、かなり思い切った映画脚色と言える。原作ファンは首をかしげるかもしれないが、ブラックコメディを得意とするポン・ジュノ監督らしい改変だ。

さらに、本作では、主演のロバート・パティンソンが一人二役を演じ、コミカルな演技を披露しており、コメディとしての土台を支えている。過去作『グッド・タイム』や『ライトハウス』での怪演、さらには『THE BATMAN -ザ・バットマン-』での陰鬱な存在感とは異なり、本作ではパティンソンが、温かみのある演技を見せている。

撮影中にもセリフやシーンを提案していたというロバート・パティンソン(右)

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