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「スッキリ終わらなかった第1シーズン」のようなアルバム
―「存在している」ということ自体が放つものを受け止める、肯定する。そういう感覚は、個人的に今回のアルバムから強く感じた部分でした。少しアルバムのディティールについて伺うと、アルバムの1曲目と2曲目には、1970年代のソウルグループ、The Presidentsの“5-10-15-20 (25-30 Years of Love)”がモチーフになっている部分がありますよね。この曲は何を象徴していると思いますか？
鈴木：The Presidentsのあの曲って、あの時代のソウル特有の底抜けのハッピー感があるんですよね。ただ、どちらかというと、The Presidentsのあの曲のようにならなかった現実を浮かび上がらせたかった。「あの綺麗事のようにはならなかったよね」って。
―アルバムの後半に“プラットフォーム | platform”と“smoking room | 喫煙室”という空間をタイトルにした曲が並んでいますが、見えてくる人間関係はまったく違うものですよね。
鈴木：たとえば、自分が運命を感じる人と居合わせる部屋と、まったく関係ない人と居合わせる部屋って、捉え方や大事さは違いますよね。“プラットフォーム | platform”と“smoking room | 喫煙室”が並んでいることによって、そういうリアルが描かれている気が、今となってはしますね。でも正直、書いていた当時はもう一生懸命で……（笑）。
―（笑）。
鈴木：意識的にやれることにも限界がありますからね（笑）。でも自分の意図していなかったものまで立ち上がってくるのがいい作品だと思うので、緻密にし過ぎないのも、ある程度大事なことですよね。
―アルバムの後編は、もう作られているんですか？
鈴木：いや、まだこれからなんです。
―前編となる今回のアルバムの最後が“渚で会いましょう | on the beach”で締め括られたことに対しては、ご自分たちではどんな解釈を持っていますか？
鈴木：“渚～”の中には、次を思わせる言葉を入れているつもりで。「思い出を振り返って、『綺麗だったね』で終わりじゃねえよな？」ということを示したかったのかもしれないです。
―井上さんはどう思いますか？
井上：（“渚～”の歌詞を読みながら）……確かにこれ、全然終わってないですね。人と人って全部「ふたり」の関係性だと思うんですけど、このアルバムって、同じふたりについて語っているはずなのに、ずっと違う関係性について語られているみたいにも聴こえるのがリアルで。そんなアルバムの最後の最後に、“渚～”で迷いみたいなものが出てくるのも、リアルだなと思う。実際、深い仲になった人と人の間に、迷いがないことなんて、ないと思うんですよね。迷いがないままで長年一緒に居られる人なんていないと思う。
―礒本さんはどうですか？
礒本：“渚～”は、いろいろな記憶や感情が入り混じっているような曲だと思うんですよね。しかも、記憶や感情が別個のものとして押し寄せてくるというよりは、それぞれが滲み合っている、そんなイメージがあって。ここに滲み合っているそれぞれの色って、この曲に至るまでの1曲1曲、そこに表れている感情でもあると思うんです。
鈴木：そうだと思う。なるほどね。
礒本：滲んだそれぞれの記憶や感情が、完結せずに、終わっていく。それが「ここに滲んだものたちは、後編でどうなんだろう？」と思わせる。なので、スッキリ終わらなかった第1シーズン、みたいな。
井上：分かる。いいドラマって第1シーズンは絶対にスッキリ終わらないもんね。
礒本：この曲で終わることによって、ハッピーエンドなのかそうなのか、分からないっていう。長編って、ひとつのシンプルな結末には絶対にならないから。
井上：なるほどねえ。いろんな答えがあっていいね。
Laura day romance『合歓る – walls』
収録曲
01:5-10-15 I swallowed │ 夢みる手前
02:Sleeping pills │ 眠り薬
03:Amber blue │ アンバーブルー
04:深呼吸=time machine
05:転校生 │ a new life!
06:mr.ambulance driver |ミスターアンビュランスドライバー 07:subtle scent | 微香性
08:プラットフォーム | platform
09:smoking room | 喫煙室
10:渚で会いましょう | on the beach
配信リンク：https://lauradayromance.lnk.to/Nemuru-walls
公式サイト：https://lauradayromance.com/
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Instagram：https://www.instagram.com/lauradayromance/
Laura day romance oneman live 2025 『wonderwall』
2025年4月26日(土) 大阪城音楽堂
2025年4月29日(火) 東京国際フォーラム ホール C
チケット：https://lauradayromance.com/news/detail/34373
