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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

Laura day romanceが語る、曖昧なものの美しさ。バンドも人間も、非合理的で魅力的

2025.2.13

#MUSIC

『合歓る – walls』という独自の言葉で表現したもの

―サウンドも素晴らしいです。大胆な部分は大胆で、それでいて、繊細なものは繊細なままでしっかりと聴こえてくる。それに、一本道のようにひとつの大きな時間の流れがあるというよりは、様々な瞬間の断片の積み重ねによって時間が流れていく……そんなことをイメージさせるサウンドで、そこが、時間軸を超越した物語に共鳴しているように感じました。

鈴木:唐突に音が大きくなったり、突然小さくなったり、聴こえるか聴こえないかギリギリの音まで入っているのは僕のアレンジの特徴かもしれないです。僕が描きたいのは、あくまでも記憶や、自分のインナーから出る感情由来の景色なんですよね。

―井上さんは、今作で歌に向き合う意識の変化などはありましたか?

井上:作品を出すごとに、どんどん歌いやすくなっている気はするんですよね。今回は一番テイクが少ないアルバムだと思う。私はずっと「歌がうまくなりたい」と思っているけど、それって技術的に凄いことができるようになりたいわけではなくて。あくまで「いい歌が歌えるようになりたい」という気持ちが強いんです。

井上花月(Vo)

井上:それでいうと今回のアルバムは、今までの作品で一番いい歌が歌えたんじゃないかと思います。今回は、歌詞の意味もあまり捉えすぎないようにしたんですよ。もちろん考えてはいるけど、あまり感情を込め過ぎたくないなと思って。ボーカリストは主人公や語り手であり、神の視点でもある複雑な立ち位置だと思うので、できるだけフラットに歌った方が聴く人の心に届くと思うんです。自分はずっとそういう歌を歌う人が好きだし。今回はそれが自然とできているんじゃないかと思います。

―『合歓る – walls』というタイトルは、「ねむる」という言葉の音的なイメージと、「合歓」という漢字の意味や視覚的なイメージが重なって、凄く複雑なものが短い言葉で表されていますよね。そして「walls」は、人と人の間にある壁のようなものを暗示しているような気もする。このタイトルはどのように付けられたんですか?

鈴木:「分かち合えるものと、分かち合えないもの」というのが、この作品の根底にあります。何かの本を読んでいた時に「合歓(ねむ)」という言葉があることを知ったんですけど、言葉の響き的には、「ねむる」ってすごく個人的な感じがするんです。眠ることって、ひとりでしかできないじゃないですか。でも、「ねむる」に「合歓る」という漢字を当てると、別のものが立ち上がってくる感じがして。

井上:「合う歓び」だもんね。

鈴木:そう。僕は一貫して「諦めの中にあるポジティブさ」みたいなものが好きだし、自分が追及しているものもそういうものだと思うんですけど、「合歓る」という言葉にもそれがあるような気がしたんです。

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