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ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』が令和に冤罪を扱う意味

2025.2.28

#MOVIE

©TBSスパークル/TBS
©TBSスパークル/TBS

2024年に話題となった『不適切にもほどがある!』や『ライオンの隠れ家』が放送されたTBS系列の金曜よる10時台のドラマ放送枠「金曜ドラマ」。

その最新作として、現在、放送されているのが、ヒューマンクライムサスペンスドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』だ。

浅見理都による2025年2月に雑誌連載が終了したばかりの同名漫画を原作とし、現在放送中の『東京サラダボウル』(NHK総合)も手掛ける金沢知樹が脚本を手掛けた本作は、先の読めない展開も話題となり、毎回、SNSを中心に考察合戦が繰り広げられている。

そうした考察合戦を出演者本人も積極的に盛り上げていることも特徴的な本作の第1話~第5話について、毎クール必ず20本以上は視聴するドラマウォッチャー・明日菜子がレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

原作漫画の最終巻発売と同時期にドラマの最終回が放送

山下心麦(広瀬すず)に父・春生(リリー・フランキー)が遺した手紙から全ては始まった©TBSスパークル/TBS
山下心麦(広瀬すず)に父・春生(リリー・フランキー)が遺した手紙から全ては始まった©TBSスパークル/TBS

現在放送中の『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)。その印象的なタイトルは、インド哲学の一節「ジャングルの中でおどるクジャクのダンス、誰が見た?」に由来する。もしクジャクがジャングルの中で美しく踊っていたとしても、誰も見ていなかったら、その美しさに意味はあるのかという問いかけだ。本作においては「クジャク自身が嘘をついても踊った事実からは逃れられない」つまり「犯した罪から逃げることはできない」という意味で用いられている。

クリスマスイブの夜、大学生の山下心麦(広瀬すず)は自宅に火をつけられ、最愛の父・春生(リリー・フランキー)を失う。容疑者として捕まったのは、22年前に東賀山で起きた資産家一家惨殺事件で捕まった死刑囚・遠藤力郎(酒向芳)の息子・遠藤友哉(成田凌)だ。かつて捜査一課の刑事だった春生は「東賀山事件」で力郎を逮捕しており、その恨みから、息子の友哉が放火をしたと警察は考えていた。だが、亡き父が心麦に残した手紙には、「友哉は冤罪だ」と記されていたのである。そこにはさらに、弁護士・松風義輝(松山ケンイチ)と一緒に、友哉を弁護してほしいと書かれていた。

原作は漫画雑誌『Kiss』(講談社)で連載中の浅見理都による同名漫画で、現在放送中の『東京サラダボウル』(NHK総合)や『サンクチュアリ -聖域-』(Netflix)などの金沢知樹が脚本を手掛けている。原作漫画の最終巻はこの3月に発売されることが決定しており、ドラマの最終回と併せ、メディアミックス作品としては最高潮の盛り上がりになりそうだ。原作とドラマのクライマックスが同じになるかどうかも注目である。

出演者と視聴者が一体となったSNS時代ならではの熱狂

強い意志を宿した瞳が印象的な心麦©TBSスパークル/TBS
強い意志を宿した瞳が印象的な心麦©TBSスパークル/TBS

主人公の心麦を演じる広瀬すずは、2025年1月に配信されたNetflixドラマ『阿修羅のごとく』でも宮沢りえや尾野真千子、蒼井優と肩を並べる素晴らしい芝居で圧倒した。広瀬が演じたプロボクサーの夫が大成功を収めたことで一躍華々しい生活を送った咲子と、本作の心麦は真逆のキャラクターだが、強い意志を宿した心麦の瞳はどこか咲子に似ている。そんな心麦の相方であり、ときに保護者のようなまなざしを向ける松風は、松山ケンイチの前作『虎に翼』(NHK総合)が終わった後“桂場ロス”でぽっかり空いた心の隙間を埋めてくれるようなキャラクターだ。松風と共に毎回、プリンが登場するのも、たびたび団子を食べていた桂場を彷彿とさせる。

本編から離れて注目すべきもう一つのポイントは、心麦の父・春生(リリー・フランキー)を殺した犯人が誰なのか、出演者たちにも明かされていない点だ。出演者には、それぞれが登場するシーンのみの台本が配られ、まるで“人狼ゲーム”状態で撮影に取り組んでいる。このように犯人を伝えない状態で撮影が行われていたドラマは、『真犯人フラグ』(日本テレビ系)や『マイファミリー』(TBS系)、『約束 〜16年目の真実〜』(日本テレビ系)などが挙げられるが、今作のように、メインキャストが自身のSNSのアカウントで、積極的に考察を盛り上げているドラマはなかなか珍しい、特に『虎に翼』の全話感想投稿や異例の「フォロー解除祈願」で注目を集めた松山ケンイチは、出演者に聞き込みをした独自の情報を投稿したり、Xのアンケート機能を用いて「怪しい人選抜選挙」を開催したりと、考察する人々の中心にまでなっている。『クジャクのダンス、誰が見た?』は出演者と視聴者が一体となり、まさにSNS時代ならではの熱狂を生んでいるのだ。

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