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映画『きみの色』は『聲の形』のアンサー。山田尚子監督のひとつの到達点

2024.9.3

#MOVIE

「色」が見えることの意味

主人公であるトツ子は人の「色」が見えるという特性を持っているのだが、SF物語の超能力のように、何かの事態を具体的に解決したりはしない。しかし、そのことにこそ意味がある。山田尚子監督は「私たちも生活している中で、なんとなく人を感じるときの無意識的な特徴があると思うんです。ご覧いただく方の感覚を何か代入出来るきっかけがあったらいいなと考えて、トツ子は人を色で感じるということにしました」とプレス向け資料で語っている。

この言葉通り、劇中でトツ子が見る色とは、現実にもある「人を感じる」という抽象的な感覚を、視覚的に表現したものだと捉えたほうがいいだろう。

そして、十人十色という言葉がある通り、人の特徴や魅力はそれぞれだ。そんな中でも、トツ子はきみの「鮮やかな澄み切った雲ひとつない真夏の空の色」のようなきみに強く惹かれる。一目惚れでも憧れでもない、言語化できない気持ちを「色」が示しているとも取れるのだ。

一方でトツ子は、「私自身の色は見えない」という悩みも抱えている。それこそ若者が抱きがちな「自分が何者でもない」や「どうすればいいのかわからない」といった漠然とした不安にリンクすることだろう。そんな彼女が、どんなふうに「自分の色」を見つけられるかにも、ぜひ注目してほしい。

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