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内側に入ってしまえば怖くない
なぜなら怖いモノは、その中に入ってしまえば、ふしぎと安心するからだ。自分の中に抱えているより、向き合うより、囲まれてしまうのが最適解なのかもしれない……そうハッと気づかせてくれたのが、故・赤塚不二夫とのコラボレーションシリーズのひとつ『田名網敬一×赤塚不二夫「TANAAMI!! AKATSUKA!! / Tanaami tea ceremony」テント』だ。会場の外に展示されていたので順番は前後するが、感覚としては本作も第10章に連なるものだと思う。


怪しすぎるテントの中に入った瞬間、驚くほどの安心感に包まれた。自分が不気味なモノどもの内側に入り、内側と外側が逆転することで、裏から見る彼らが守り神のように頼もしく感じられたのだ。残念ながらこのテントは内覧会のみでの特別展示だったが、「貘の札」のワードとともに、なぜ作家が執拗にグロテスクなイメージを表出させ続けるのか、ストンと腑に落ちた展示だった。