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コロナ禍がもたらした「ピカソ千本ノック」
つづく第9章ではガラリと雰囲気が変わり、コロナ禍で田名網がルーティンとしていたという、ピカソの母子像の模写、および変奏作品が思い切りよく展示されている。その数およそ200点。ちなみにこのシリーズは現在も制作が続けられ、総数はすでに700点に及んでいるという……恐ろしいほどの創作意欲である。

元のピカソ作品がすぐにわかるものもあれば、もはや完全にオリジナルと言うべき作品も多い。キオスクを模したスタンド(店番は『泣く女』のドラ・マール!)に並ぶ十数点を眺めるだけでも、母子像の子どもがアトムになったりミッキーになったりと、作家の自在な変奏ぶりが伝わってくる。