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冴えわたる11章、これこそがいいのだ!

……で、ここで終わらずさらに展示は続く。最後の11章は故・赤塚不二夫(漫画家)とのコラボレーション作品の展示だ。正直言って「何かのプロモーションのために企画されたものだろう」くらいに思っていたのだが、全然そんなことはなかった。赤塚不二夫を敬愛していたという田名網が、赤塚の死後にラブコールすることで実現した超濃厚な絡み合いである。イヤミやアッコちゃんなど、大好きなキャラクターを自身の世界に招き入れるお墨付きを得た田名網は、まさに水を得た魚。この章の作品はどれも異様な切れ味だ。

中でもお気に入りは、『焼夷弾の雨』という痛々しいタイトルの作品。戦闘機の下、「ワーッ」「ドガチーン」「ボカッ」と赤塚漫画らしい擬音で画面が騒々しく埋められている。中央でイヤミが溺れそうになっているのは、アメリカンコーヒーなのか、それとも血の海なのか。国民的ギャグ漫画のキャラクターとオノマトペを使うことで、お砂糖一杯どころではない皮肉の溶け込んだ作品となっている。