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稲妻のように「今ここにいる」と言える放送を目指して
ー最後に、10年20年先にラジオはどのような役割を担っていくと思いますか?
カビラ:リスナーにとって、「この時間にこの局を聞けばこの声が聞こえてくる」という安心感は普遍的なものだと思うんです。そこで聞いたいろんな情報をみんなで共有できる、何か心に刺さったことや気になったことを自分の生活の中でシェアする、このラジオの醍醐味は変わらないんじゃないでしょうか。
そうやって聞いてくれる人がいるだろうという信頼感を持って僕らは放送していますし。価値のある情報と伝え方を考え続けるのも、ナビゲーターにとって変わらないことだと思うんですよね。
ラジオが寄り添ってくれる時もあれば、耳に痛いことも聞かなくちゃいけないこともあるかもしれない。そこにはいつも癒しと刺激と喜怒哀楽がある。何十年たっても、それがラジオだと思います。
ラジオ局を取り巻く環境はどうなっていくんでしょうね。日本の電波行政が解放に向かうかというと、そうでもないんじゃないでしょうか。アメリカにはラジオ局が1万局あって、業界ではなく産業なんですが、そうなるとは思えない。本来であれば、民主的な国家ではマスメディア集中排除が原則なんですが、日本は結局、新聞社の系列がほとんどですからね。解放していった方がいいとは思います。
番組の中でゲストに聞ききれなかったことをポッドキャストで収録したり、ゲストの演奏をYouTubeで配信したり、新しいメディアを使ってラジオの魅力を高めていくこともできるので、そこは真剣に考える価値があると思います。 J-WAVEが開局する前、当時編成部にいた横井宏さんという方が作成した「編集総論」という資料の前文には、旧約聖書のヨブ記第38章第35節「あなたはいなずまをつかわして行かせ、/『われわれはここにいる』と、/あなたに言わせることができるか。」が引用されていました。「今ここにいる」と稲妻のように言わせることができるのか、それくらいの存在感を持って開局に臨むということ。これは痺れますね。この覚悟を、これからも持ってラジオを続けていきたいです。

J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』
■放送時間:2025年10月より、毎週月曜~木曜 13:30~16:30
■ナビゲーター:
月曜日 ハリー杉山
火曜日 市川紗椰
水曜日 クリス・ペプラー
木曜日 ジョン・カビラ