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オダギリジョーを本気にさせた映画。『夏の砂の上』でプロデューサーを買って出た理由

2025.7.8

#MOVIE

プロデューサーは成功報酬だから、そこに名を連ねることで俳優も本気になれる

ー編集について玉田監督に伝えたアドバイスで、覚えているものはありますか?

オダギリ:自分で監督する作品は、時間をかけて編集にこだわるので、自分なりの編集のノウハウは持っているんです。ただ、『夏の砂の上』はカット数も少ないですし、テンポやタイミングで見せる映画ではないので、細かく切り刻むということではないですからね。今回僕が気にしたのは寄りと引きのカットのバランスや、カットバックのタイミングによって見る人の受け取り方が変わるので、その辺りの修正。そしてなるべくひとつのカットを長く見せる努力、そんな部分でした。

ーむしろ、編集が凝りすぎないようにする役割というか。

オダギリ:そうかもしれませんね。あとは、「こっちのテイクを使った方が俳優さんのやりたいことを汲んであげられますよ」といった、俳優の性理を知っているからこそわかる部分もありますね。

ー最近、特に海外では主演俳優がプロデューサーを兼ねている作品が増えているように思います。監督兼主演よりも多い印象があるんですが、オダギリさんはこの流れについてどうお考えですか?

オダギリ:やっぱり監督と俳優を一緒にやるのはどうしてもシワ寄せが来るんですよ。多くの場合は、どちらかが破綻します。俳優はやはりひとつの役を専門的に深める職人ですし、監督は全体の芝居のバランスを考えるので、ベクトルが全く違うんですよね。俳優としては、想定から外れたとしても面白い芝居を提案したいものですが、それを出されると全体のバランスをまた1から考え直さないといけない…というような、お互いに殺し合う可能性を含んだ関係でもあるんですよ(笑)。

そういう意味では、俳優とプロデューサーを兼任する方が自分の芝居の枷にならないですよね。もっと言うと、脚本の段階から役のアイデアや芝居について相談できて、監督のやりたい事も早い段階で理解できるから、ぶつかる事も減るんです。そして編集や音作りなども含めて、自分の意見やアイデアを出しやすいので、結果的に作品に対する思い入れが深くなります。俳優だけでお願いされた時よりも明らかにやり甲斐や愛情が深まって、良い事だらけだと思いますけどね。

ー日本でも、俳優兼プロデューサーは増えていくと思いますか?

オダギリ:どんどんやればいいと思います。海外のシステムを詳しく知っている訳ではないですが、ギャランティひとつ取っても、ハリウッドと日本の俳優の差は、天国と地獄ほどの差がありますからね(笑)。例えば日本の俳優は、成功報酬なんてありませんし、興業収入のパーセンテージを受け取る事もありません。プロデューサーとして、パーセンテージを交渉する事はおかしなことではありませんし、そうすることで、今まで以上に宣伝に協力する意味を見出せるだろうし、何より自分のプロデュース作品として、1ミリでも良い作品にしようとするはずなんです。

ー自然と作品に責任を持つことになるという。

オダギリ:そうです。こういうインタビューにも絶対的に気持ちが乗ってきますから(笑)。

映画『夏の砂の上』

© 2025映画『夏の砂の上』製作委員会

出演:
オダギリジョー
髙⽯あかり 松たか⼦
森⼭直太朗 ⾼橋⽂哉 篠原ゆき子/満島ひかり
光⽯研

監督・脚本:玉田真也
原作:松⽥正隆(戯曲『夏の砂の上』)
音楽:原摩利彦

製作・プロデューサー:甲斐真樹 共同プロデューサー:オダギリジョー
製作:映画『夏の砂の上』製作委員会 製作幹事・制作プロダクション:スタイルジャム
配給:アスミック・エース

【SNS】
❏ X: https://x.com/natsusuna_movie
❏ Instagram:https://www.instagram.com/natsusuna_movie
©2025映画『夏の砂の上』製作委員会

7月4日(金)全国公開

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