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HUGENが祭り囃子に向かう理由
先日HUGENのホームである下北沢SPREADで彼らのワンマンライブを体験することができたのだが、それはどこか村祭りにも似た気さくな熱狂があった。フロアを煽るTPの振る舞いは決してロックスター然としたものではなく、むしろ神輿を担ぐ人々を煽り立てる地元青年会のリーダーのような雰囲気があった。彼らが自身の初EPに『祭』というタイトルを掲げた理由がわかるような気がした。
TP:そこは明確に意識しています。メンバーはみんな即興だし、ライブをやってるとどんどん楽しくなってきちゃって(笑)。それが祭り感に繋がっているのかも。地元でも毎年9月に『敦賀まつり』という祭りをやってるんですけど、1か月ぐらい出店が出て、めちゃくちゃでかい山車が町を練り歩くんです。僕自身、やっぱり祭りが好きだし、ライブも楽しいほうがいいですからね。祭りってなんでもありじゃないですか。今回のEPも結構ごっちゃな内容だし、その感じを集約する言葉として『祭』にしました。
HUGENの音世界にはTPが故郷で触れていた祭りの熱狂、幼少時代の記憶もさりげなく映し込まれている。TPのそうした個人的な記憶は東京という大都市の生活感覚と共に熟成され、ビートミュージック以降のバンドアンサンブルを通して表現されることで「東京の音」として鳴り響く。
さまざまなルーツを持つ人々が集まり、多種多様な音が奏でられている現代の東京。どこか懐かしくて、都市生活者の喜怒哀楽が詰まったHUGENの音は、そんな東京ならではの魅力に満ち溢れている。

HUGEN『祭』

リリース日:2025年5月7日
フォーマット:デジタル配信
【Track List】
1.桜源郷
2.Dancing Children
3.パン
4.SLOW
5.パッピドゥ
6.MAYA