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『HERE 時を越えて』が繋ぐ、過去のゼメキス作品たち
『HERE 時を越えて』の窓とドアの外は、ゼメキスの過去作品にも開かれている。たとえば、かつてこの家の前には大きな樫の木が生えていた。家を建てるためそれは切り倒されるが、樫とは『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)で、フォレストが母と住む家に生えていた巨木だった。仲良しの少女ジェニーと共に、その枝に腰かけて絆を深め合った木でもある。そしてフォレストとジェニーを演じたトム・ハンクスとロビン・ライトは、もちろん本作でリチャードとマーガレットを演じた2人でもある。
リチャードとマーガレットが結婚するとき、部屋のテレビにはビートルズ出演回の『エド・サリバン・ショー』(1948-1971アメリカで放送されていた番組)が映っている。それは『抱きしめたい』のクライマックス。だからこの画面の向こうでは、『抱きしめたい』の若者たちが狂騒しているということだ。
『HERE 時を越えて』の最初と最後では、幸せの使いのようにハチドリが飛ぶ。『マリアンヌ』のカップルが初めて出会う目印も、ハチドリの図柄のショールだった。
さらに注目は、この作品の俳優陣は10代から老年までを演じ分けているが、そのため何千枚ものアーカイブ画像を使って、デジタルメイクを施したという。つまりこの映画の演技には、トム・ハンクスらの過去の演技もすべて堆積しているということだ。
