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相手を理解する前に、自分自身を理解すること
―癖や欠点は誰にでもあると思いますが、ヘルシンキとしても10年以上積み上げてきたものがあるなかで、自分の癖に向き合うのは簡単ではなかったと思います。
橋本:抵抗があったからこそ10年もの間、向き合えなかったんだと思います。でもやっぱりこの先も音楽を続けていきたい。そしていろんな表現方法を身につけて、できることを増やしていきたいという気持ちは変わらないので。足りないところに目を向けたり、やりたいことを実現するための方法を考えたりするフェーズになってきたんだと思います。

―ライナーノーツによると、「相互理解」がEPのテーマの一つだったそうですね。互いに理解し合うという意味ですが、制作を通して橋本さんご自身の理解も深まったのではと思いました。
橋本:「わからないものが怖い」という無意識に近い感情が人間の根本にあるように感じていて。好奇心が強い自分でさえ、わからないことに直面すると怖くなってしまう。怖いものを目の前にすると、臆病であればあるほど、加害的な反応をしてしまうと思うんです。だからこそ、わからないものがある時は「今自分は怖いと感じている」と素直に認めるようにしていて。怖いと自覚できると、「なんで怖いのか」という問題にも向き合えるようになるはずなんです。
相手を理解する前に、自分自身を理解すること。SNSで起こっているヘイトや衝突を見ると「自分は我慢しているのに」っていう怒りに基づいたものもあるような気がしていて。その我慢って本当は誰に強いられたものなんだろうなと思います。自分を一度見つめ直すことは素直に生きる上でのキーワードかもしれないですね。