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海外公演後、最新作で取り組んだチャレンジ
―そんな経験を経て『月刊エスケープ』がリリースされました。今回のEPの手応えはどうでしょう?
橋本:Helsinki Lambda Clubとして、前作『ヘルシンキラムダクラブへようこそ』から更新できたなという手応えはありつつ、チャレンジも多い作品になったかな。前作はバンドとして一段と気合いの入った作品で、いろんなノウハウも得られたので、今回はそこまで難産になるとは思ってなかったんです。いつもは、制作中に次作の構想やアイデアも同時に考えることがあるんですが、今回そんな余裕はなくて、気づいたら目の前のEPに没頭してて。チャレンジする余白がまだまだあることを実感した制作になりましたね。アルバムよりは短いEPというフォーマットではありますが、「出し切ったな」と思える作品になったと思います。

―チャレンジにもいろいろあるかと思いますが、どういったことが難しかったんですか?
橋本:いろいろあるんですけど、特に「歌」ですね。実はボーカルとして、「歌があまり得意じゃない」という問題意識をずっと抱えていたんですけど、歌が上手くなくても問題ない音楽性だと思っていたので、これまであまり自分の歌に向き合ってなかったんです。僕の歌い方は比較的平たくて感情が出ないんですけど、まあそれでもいいと思っていた。でも今回は明確にやりたい音楽があって、たとえばEP収録曲の”Yellow”のようにブラックミュージックを参照にした楽曲を自分が歌うには、カルチャーへのリスペクトに欠けると思ったんです。自分の歌に向き合わざるを得なかった。