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神保治暉がエリア51で挑戦する、観客を劇場の枠組みから解放する音楽演劇

2024.9.26

#STAGE

音楽演劇では、演出家が絶対的な存在にならない

―演劇活動もバンド活動も他者と共同で行うクリエーションですが、音楽演劇になったことで、稽古場でのコミュニケーションにも変化はあったのでしょうか?

神保:音楽演劇の稽古では「演出家に偏りがちな力」が薄れるというか、分散されていく豊かさを感じています。例えば、上演時間を短くするためにどこを削るか、という話になった時に「この曲ちょっと長い気がする」とかの意見が結構出てくるんですよ。そのカジュアルさがすごくいいなと思いました。

―たしかに、演出家が絶対的存在にならないというのは、現場の風通しの良さにも繋がりますね。

神保:演劇だったら、書いた人間を前に「ここいらないかも」って言いにくいと思うし、僕自身がそれを望んでいたとしても、領域を越えて言及してくれる人はそんなにいなかったんです。俳優は書かれたものを元に、どうにか面白くしようと頑張ってくれてしまう存在でもあるので。だけど、音楽ではフラットに意見を交わすことができる。そういった相互性も「音楽演劇」の一つの豊かさだと思います。それによってみんなで作り上げる感覚がより大きなものになったし、そのことが客席を含む本番の空間にも心地よさを与えてくれる。

―ステージの空気が客席に伝播する、というのはたしかにありますよね。

神保:舞台上が硬直すると、お客さんたちは優しいので「がっちり作られたものを壊しちゃいけない」って心がけてしまって、さらに硬直した空気が出来上がってしまう。だからこそ、自分たちがラフにリラックスして作ることで、客席でも気軽な気持ちで心地よくいてもらえたらと思っています。そのために、「遊び」を残しながら俳優の主体的な意見を取り入れられるようにしています。

―ミュージカルでも音楽劇でもなく、音楽演劇。神保さんが考えるその定義とは?

神保:いい音楽、いい俳優、いい空間。その3つがいいバランスであること。それが居心地の良さに繋がると思っています。生身の俳優がしゃべり続けるのでストレスを感じることも当然あると思うし、かといって音楽だけが先行しても、もう少し持ち帰れるものが欲しかったりもする。そういったバランスを見極めながら、作る側も観る側も負担が少ないことをどうにかしてやりたいと思っています。

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