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ブックデザイナーのコバヤシタケシは、元の絵の良さを最大限活かした装丁にこだわる

2024.12.16

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

10月24日は、「KIBI’S BAKE SHOP」の二見さわや歌さんからの紹介で、ブックデザイナーのコバヤシタケシさんが登場。本の本文から装丁までをデザインするブックデザイナーとしての仕事の流れや、装丁を作る上でのこだわりについて伺いました。

ブックデザインは本の見栄えと読みやすさ、両方に応える仕事

Celeina(MC):今日お迎えするのはブックデザイナーのコバヤシタケシさんです。初めに、コバヤシさんがブックデザインをするようになったきっかけを教えてください。

コバヤシ:戸田ツトムという好きなデザイナーがいて、弟子入りしたいと思ったタイミングで、たまたまチャンスがあって弟子入りしたことが1番の大きなきっかけです。

タカノ(MC):コバヤシさんはブックデザインをされていますが、普通のデザインとは違うものですよね。ブックデザインをする上で、気を付けているポイントを教えてください。

コバヤシ:他のグラフィックデザインに比べると地味に思われることが多いですが、本文の見栄えを良くすることと、読みやすく情報を伝えること、その両方を頑張って応えないといけないので、そのバランスに気を付けています。

Celeina:ブックデザインは依頼を受けたらどんな流れで進んでいくんですか?

コバヤシ:編集者さんから「こういう本が出るのでデザインをお願いします」と依頼が来たら、まずその本の内容を聞きます。場合によっては、ゲラと呼ばれる仮の本文をいただいて読んで、まずは本文から作り始めます。内容によって、1ページあたりの文字数、1行に何文字入る、1ページに何行入るなど、そういう部分を組み立てていきます。内容が難しい本だと、1ページに入っている文字がぎゅうぎゅう詰めになっていても、読める方は多いんです。

Celeina:なるほど。難しい内容の本だと、読み手の方も慣れているだろうという想定した上で、作っていくんですね。

コバヤシ:そうです。でもエッセイなどのライトな内容の本だと、ちょっと行間を開けたりして、詰めないようにします。あとは、書き手によって文体に漢字が多い方と少ない方がいるじゃないですか。漢字が多いと、ページが真っ黒に見えちゃうので、そういう場合は少しゆったりさせていますね。逆に、ひらがなが多い場合は、詰めないとのっぺりしちゃうことがあります。だから単純に、本を開いた時に綺麗に見えるように作っていますね。

タカノ:普段、意識していなかった大事な話を聞けました。

元の絵を活かしたデザインに仕上げるのがコバヤシ流

Celeina:最初に本文から作るんですね。装丁から入るのかなと思っていました。

コバヤシ:まずは、行数や書体を決めてフォーマットを作るんです。あとは、ノンブルと呼ばれるページ数の部分を可愛くしたり、逆に控えめにしたりちょっとしたアレンジを加えたりします。それができたら、数ヶ月後に「じゃあ、そろそろ装丁をお願いします」と言われて、外回りのデザインを、編集者や著者の方の要望を聞いて考え始めます。

例えば、オルタナ旧市街さんの『踊る幽霊』という本の場合は、事前に「このイラストレーターさんの絵を使いたい」とオルタナ旧市街さんと編集者の間で話し合われていたので、「こういう感じの絵を描いてもらいましょう」という提案をしました。デザイナーや本の内容によっては、「こういう装丁にしたいから、こういう絵を描いて」とリクエストをするタイプの方もいるんです。でも僕は、編集者と著者が「この人がいい」と選んだ時点で、イメージが共有されていると思っているんです。なので、ある程度の方向性と、「文字の置き方などデザインのことは考えないで描いてください。文字が入れづらい絵になってもいいので」と伝えて、画家さんやイラストレーターさんにお任せしたいと考えています。その方が面白いものが出来上がると思うので。そして、上がってきた絵を見て、どこに文字を配置しようかなと考えます。

タカノ:イラストレーターさんなどの絵を使用される時は、元の絵の良さを最大限に活かして制作されているんですね。

コバヤシ:僕はそうしたいと思っています。だから、イラストをなるべく文字で隠したり、邪魔したくないと考えています。

タカノ:オルタナ旧市街さんの表紙のイラストは、夜の遊園地のような場所に三角コーンをかぶった妖精のようなオバケのようなものが描かれていますね。そこに、『踊る幽霊』というタイトルや著者名が面白く入り組んだ感じに配置されています。そこはデザインの力ですよね。

コバヤシ:はい。やっぱり、少し変わった感じにしたいとか、自分らしさもちょっとだけ入れたいので、どこに入れたらいいかなと考えました。『踊る幽霊』なので、こういうアレンジはありだと思い、このデザインになりました。

タカノ:紙ならではの良さを、再確認しました。

本の帯やバーコードも作品の一部としてデザインする

Celeina:この帯もコバヤシさんが手がけていらっしゃって、作品の一部ということですよね。

コバヤシ:はい。一部です。

Celeina:バーコードやお値段の箇所もコバヤシさんが1つずつフォントを選んでいらっしゃるんでしょうか? バーコードがすごく可愛い数字になっていて、キュンとしました。

コバヤシ:この本の場合はそうですね。ただ出版社によっては決まっていて、変えてほしくないというところもあって、変えても戻されたりするんです。『踊る幽霊』はその帯を取っても面白くて、イラストレーターさんが2種類の絵を描いてくれたんですよ。

Celeina:帯を外してみます。タカノさん、見てください。さっきの三角コーンのオバケが!

タカノ:これはネタバレしない方がいいですね。帯を外すと、どうなっているのか気になる方は、ぜひ本を手に取ってみてください。

Celeina:きっとお話にも繋がってきますよね。あんまり言い過ぎたくはないですけど。

タカノ:本当に紙ならではのよさですね。お話を聞いていて、もっと本を読みたくなりました。

コバヤシ:それは嬉しいですね。

Celeina:装丁やフォントやページ数など、しっかりじっくり見たいですね。

コバヤシ:ぜひ見てください。

Celeina:「FIST BUMP」、本日はブックデザイナーのコバヤシタケシさんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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