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『プルーストを読む生活』を執筆した柿内正午の原点は、小学生の時に書いていたブログ

2024.11.2

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

9月5日は、作家で編集者の友田とんさんからの紹介で、会社員で文筆活動をされている柿内正午さんが登場。自著 『プルーストを読む生活』の執筆過程や、男らしさを考察した最新作『『ベイブ』論、あるいは父についての序論』について伺いました。

文筆活動の原点は、小学生の時に書いていたブログ

Celeina(MC):作家で編集者の友田とんさんからのご紹介ということでお迎えしましたけれども、会社員をしながら文筆活動を行われているということで。文章はいつ頃から書かれていたんですか?

柿内:文章自体は小学生とかそのくらいからです。Seesaaブログとか、ブログサービスが始まっている時期だったので。

タカノ(MC):小学生からブログを書いていたんですか?

柿内:両親が書いていたので、じゃあなんか書くかと思って書いていました。家族や友人、みんながそのブログを読んでいた状態でした。

タカノ:どんなこと書かれていたんですか?

柿内:「冷蔵庫の中に何があるかめちゃくちゃ楽しみにして、開けてみたらヨーグルトしかなくてがっかりした」みたいなことを、すごく大仰な文章で書くことをしていました。それがめちゃくちゃ友達に評判が良くて。両親からは、そんなくだらないことを難しそうに書くんじゃないって不評だったんですけど。

毎日の通勤時間で、世界一長い小説を読破

タカノ:そんな頃から文章書いていたということなんですけども、気になったのが、プルーストの『失われた時を求めて』を読み進める 1 年間を綴った 『プルーストを読む生活』。そもそもなんですけど、『失われた時を求めて』は読破されているんですか?

柿内:読破しました。

タカノ:すごいですよ。周りにいないです。めちゃめちゃ長いんですよ。

Celeina:どのくらい長いんですか?

柿内:文庫本だと、大体10冊分くらいです。ギネスブックにも載っているぐらい、世界一長い小説です。本好きはみんな老後に読みたい本にあげていますね。

Celeina:それを柿内さんは1年間で読まれたんですか?

柿内:丸1年、毎日の通勤電車で読んでいました。

タカノ:この方本当に凄いですよ。

Celeina:文章も難しかったりして、読み進めるのも結構大変ですか?

柿内:『百年の孤独』もそうですけど、難しいイメージが強すぎると思います。結局、小説は音楽と同じようにあんまり考えずに乗っちゃえば、結構楽しかったりします。

Celeina:『プルーストを読む生活』という本はどのような内容になっているのでしょうか?

柿内:通勤電車で毎日10ページでもいいからプルーストの『失われた時を求めて』を読もうというのを決めて、読みながら読書日記みたいな形で毎日日記を書いていたんです。日々本を読みながら、働いたり、何かを考えたりしている様子を書き溜めていたのがせっかくあったので、本にしてみた感じです。

Celeina:読書日記は、ブログにも通ずるものを感じます。

柿内:そうですね。その延長でやっていましたね。

タカノ:結構ストイックな行為ですよね。

柿内:日記も毎日書くとなるとストイックに思われがちなんですけど、楽しく読んで、「ここアガった!」みたいなのを書いているだけだったんです。実はプルーストを読んでいた時、プルースト以外の本も一緒に読んでいたので、『プルーストを読む生活』と言いつつ、別の本の話ばかりしています。

Celeina:マッシュアップしているような感じもあって?

柿内:そうです。本当にそんな感じです。

男らしさを考えた時に、頭に浮かんできた映画『ベイブ』

Celeina:そんな気になる『プルーストを読む生活』ですけれども、最近は他の作品も出されているんですね。

柿内:そうですね。今日タカノさんとCeleinaさんに持ってきたいなと思ったのが、『『ベイブ』論、あるいは父についての序論』 という本です。プルーストの本は出版社から出してもらったんですけど、この『ベイブ論』は自分で作った本です。『ベイブ』ってご存知ですか?

Celeina:可愛い子豚の映画ですよね。

柿内:そうです。一時期、「最近の男らしさってどうやって考えたらいいんだろう?」とかすごく悩んでいたんですよ。男らしさってよくないよね、と言いすぎても、男の僕が言うと「いや分かっていますよ。そういうのよくないですよね」という逆のマッチョな感じになるし、逆に居直って「俺は男らしくて何が悪いんだ」みたいな感じにすると、お前そんな風に開き直っていいのかみたいになるし。どう語っても楽しく喋れないし、どうしたらいいんだろうと考えていた時に、これは僕もなぜか分からないんですけど、『ベイブ』だって思ったんですよ。

タカノ:なぜだ!

Celeina:めっちゃ気になる!

柿内:子供の頃に『ベイブ』をよく見ていて、めっちゃ好きだったんです。よく分からないけれど、それが関係している気がしたので、男らしさを考えるために『ベイブ』を見ようと思って、繰り返し観たんですよ。書くために12回くらい見たんですけど、その中の4回は、倍速視聴の逆を行こうと思って、U-NEXTで0.6倍速で見ました。2時間の映画を4時間くらいかけてずっと見ながら、『ベイブ』について考えていました。

タカノ:それで発見はありましたか?

柿内:『ベイブ』を見てもよく分からないということが分かりました。

タカノ:分からなかったんですね! でも繋がっている部分はありますよね?

柿内:何故0.6倍速で見ていたかというと、ただひたすら見てスケッチするみたいに、映画の中で起こっていることを自分の考えを交えずに一旦書いてみようと思ったんです。なので、この『ベイブ論』って論と言いつつ、本編の半分くらいはずっと『ベイブ』の映画を小説みたいな感じで描写しているんです。それを何でやりたかったのかはよく分からなかったんですけど、やり終えて分かったのは、「ベイブがこういう風に振る舞っているのは、社会的にこういうような意味がある」みたいなことを言い出すと、男の子っぽいじゃないですか。

タカノ:メタ的な感じになっているんだ。

柿内:本当の今のいい父親像というのは、ただ見守るだけなんじゃないかと思って。とにかくただ見て、見たままを書くという風にすることで、『ベイブ』をいやらしくないタイプの父性で語れるんじゃないか、みたいなことをしたかった。

Celeina:『ベイブ』を語りながらも、この2024年の生き方みたいなものも同時に打ち出していくような形でしょうか?

柿内:そうです。

タカノ:どこで買えるのでしょうか?

柿内:結構色んなところで買えます。例えば、H.A.Bという本屋さんのオンラインストアがあるんですけど、そこでも買えます。そこで買うと、友田さんや僕や小野寺さんが寄稿している「H.A.Bノ冊子」という素敵な冊子も特典で付いてきます。

タカノ:今週の「FIST BUMP」オールスターみたいですね。チェックさせていただきます。

Celeina:そして柿内さんはPodcastもされていると伺いました。

タカノ:奥さんと一緒に喋っていませんでしたか?

柿内:そうです。自分の妻と一緒に喋っています。『ポイエティークRADIO』というPodcastを2020年の3月くらいに始めて、もう4年くらいやっています。

https://open.spotify.com/show/6VT8qitqKIEvL6LGNi3WS1

Celeina:どうりでお話しがお上手なわけですね。

柿内:いやいや。Podcastではしょうもない話しかしてないです。

タカノ:そこも含めて、ホッとしたい人とかいると思うので、ぜひぜひ、柿内さんのSNSをフォローしてください。色々活動されていますからね。

柿内:そうですね。見ていただきたいです。

Celeina:「FIST BUMP」本日は会社員で、文筆活動をされている柿内正午さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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