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被写体のことを考えた時間が、写真の深みになって滲み出る
Celeina:実際の撮影現場はどんな感じなんですか? フォトグラファーとして準備することは多かったりするんでしょうか。
寺沢:仕事の依頼のメールに被写体の方の名前が書いてあると、私は割とすぐにパッと画が思い浮かぶんです。
Celeina:名前だけでですか?
寺沢:有名な方だったりすると、こういう風に撮りたいなという画が思い浮かぶので、その頭に浮かんだ画が、実際に現場で可能かどうかを毎日ちょっとずつ考えて、いろんなアイデアを増やしたりとか、考えながら準備します。当日現場に行くとそれが全然できなかったりもするので、必ず最悪のパターンも想定します。あとは準備してきた時間が写真の持つ深みになって、それがちょっと滲み出たりしたらいいなと思いながら撮影に挑んだりしていますね。
タカノ:すごく大事なことですよね。イメトレが重要というか。
寺沢:そうですね。その人のことを考えている時間が長かったり、顔をずっと見ていたりすると、どんどん好きになっていくみたいな感覚に近い感じです。そうやって準備していくと、当日は程よい緊張感とリラックスした気持ちで臨める気がします。
タカノ:わかる気がします。僕は以前、営業みたいな仕事をしていたことがあったんですが、その時に先輩から「営業しに行くお客さんのことを好きになれ」と言われたんですよ。その人を助けるために商品を勧める気持ちでいた方が成功するよ、というアドバイスを貰って、確かになと思ったんです。対象の方に興味を持って、その人のことを考えるのって、ほかの仕事にも通ずる力なのかもしれない。
寺沢:仕事論みたいになってきましたね。ビジネス書でも書こうかな。