グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
6月4日は、ネオ竹の子族こと「ケケノコ族」のリーダーで、占いと整体をかけあわせたサロン「まじ軽」を運営しているフニラさんからの紹介で、川柳人の暮田真名さんが登場。川柳との出会いや、主催する句会についてのほか、川柳のアイディアを書き溜めているというスマホのメモについても伺いました。
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川柳は考える余白のある芸術
タカノ(MC):川柳人という呼び方なんですね。
暮田:はい。ちょっと宇宙人みたいですけど。
Celeina(MC):今回、暮田さんを番組にお迎えするということで、「GRAND MARQUEE川柳」を募集していました。
暮田:拝見しました。タカノさんの川柳が経験者かと思うぐらいお上手でした。
タカノ:本当ですか! 嬉しいです。
Celeina:暮田さんは現代川柳を作られていますが、現代川柳とはどういうものですか?
暮田:分かりやすく言うと、私は普通の川柳よりもヘンテコなものを書いています。私の作品をご紹介させていただくのが早いかなと思いまして、例えば『ふりょの星』という作品集に「OD寿司」という連作があります。寿司という言葉を入れた川柳が25個ぐらい並んでいる作品で、今日はそこから3作を紹介させていただきます。
「良い寿司は関節がよく曲がるんだ」
「寿司。それは飼い慣らされたアルマジロ」
「寿司だから寂しくないよ。」「本当に?」
以上です。
Celeina:考える余白があって、読んでいてすごく楽しいです。
タカノ:「飼い慣らされたアルマジロ」ってどういうことなんだろう、と思わせる言葉のチョイスが素敵です。最後にアルマジロという単語がポンと入ることによって、一気にインパクトが出て、記憶に残りますね。
暮田:もともと、川柳は耳で聞くという文化が強いんです。私は最初の頃、文字から書き始めたので、インパクトと言っていただけてすごく嬉しいです。
Celeina:川柳って耳で聞くものだったんですね。
暮田:はい。川柳には句会というものがあって、偉い先生が生徒たちの句を読んで、会場に集まった人たちが「おお!」となるみたいな。
タカノ:ちなみに川柳の評価基準はどうやって決まっているんですか?
暮田:感じるものがあるかどうかですね。
タカノ:なるほど。じゃあ明確なロジックがあるわけではないんですね。
暮田:そうですね。川柳は規模が小さく、まだ賞もそんなにないので、各々のバイブスでやっている感じです。
Celeina:芸術ということですね。アートのように、それぞれが思ったものを受け取ってほしいっていうことですね。
タカノ:全部が作品として正解なんですね。
暮田:「俺が思う川柳はこれだ!」みたいな感じで、皆やっていると思います。
タカノ:すごく面白いです。本当に言葉が豊かで、想像がかきたてられますね。
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川柳の解釈を自由に語り合う句会を開催
Celeina:この「OD寿司」は、お寿司を食べている時に書いたものなんですか?
暮田:いいえ、大学の授業中に書きました(笑)。
タカノ:通われていた大学は、川柳と関係があるんですか?
暮田:一応、文学部でした。
Celeina:言葉には触れてらっしゃったんですね。
タカノ:ちなみに川柳との出会いはどんなところから?
暮田:もともと中高生の頃から短歌を読むことが好きだったので、大学に入って短歌サークルに入りました。でも、「短歌って長いな」と思っていて。そこで「俳句はどう?」と勧めていただいたので、俳句をやってみたんですが、難しかったので、何のルールもない川柳に流れ着いた感じです。
タカノ:俳句の場合は季語を入れないといけないんですよね?
暮田:そうですね。それが主流なので覚えることが多く、お勉強の要素が強いかなと感じています。私は勉強が好きじゃないので、川柳に流れ着きました。
Celeina:でも、もともと言葉に触れる機会があったからこそ、今は現代川柳をされているんですよね?
暮田:はい。本を読むことは好きでした。
タカノ:そもそも現代川柳というのは、575のリズムは決まっていますが字余りなどもOKで、何を述べてもいいんですよね?
暮田:575のリズムがあれば、字余りでも字足らずでもいいですし、何を言っても大丈夫です。
タカノ:無差別級デスマッチみたいな、何でもありの世界ですね(笑)。
Celeina:川柳の世界は敷居が高いイメージがありますが、実際はどういった雰囲気なんでしょうか?
暮田:敷居は全然高くないです。ただ、年齢層が高めだったりするので、情報などがネットの世界に現れてこないため、もしかしたら調べることが大変かもしれません。だから、私がXで「こういうことをやっていますよ」とお知らせしているので、ぜひ参加していただけたらと思います。やっている方々は皆さんとても優しいし、ウェルカムです!
Celeina:『GRAND MARQUEE』リスナーの中にもすごく川柳がお上手な方がたくさんいらっしゃったので、ぜひ参加してもらいたいですね。
タカノ:自由な発想の素晴らしい作品がいっぱいでしたね。英語だけで書いてきた方もいらっしゃいました。
暮田:すごい! 現代川柳は英語でもいいんですよ。
タカノ:その川柳をCeleinaさんに英語の正しい発音で読んでもらったら、575のリズムになっていたので、興味深かったです。
Celeina:暮田さんは句会も主催されているそうですが、句会とはどんなものなのでしょうか?
暮田:句会は、先ほどの「OD寿司」みたいな句を持ち寄って、「ねえ、これってどういう意味?」「私はこれいいって思ったけど、どこがいいんだろう?」みたいなことを皆で考える会です。
タカノ:川柳の意味を作者に尋ねるのはOKなんですか?
暮田:はい。句会自体は、川柳の作者が誰か分からない状態でやるんですけど、 終わった後に、「これはどういう意味だったんですか?」と質問することは大丈夫です。
Celeina:作者が分からない状態というのは、その場で匿名で書くんですか?
暮田:考えてきた川柳を、誰が書いたか分からないように紙に書くんですよ。その紙を並べて、作品だけを見られるフェアな状態にして、どれが心に刺さったのかという。
タカノ:めっちゃ面白いです。例えばアルマジロだったら、「飼い慣らされたアルマジロってなんだろうね」というところから始まって、「アルマジロって、丸くなったりするんだっけ?」「ウロコがあるよね」「飼い慣らされているということは、懐いてくれているから、すごく身近な存在なのかな」「でもお寿司って敷居が高かったりするし」「レア感もあるのかな」みたいな、そういう会話を句会でするのでしょうか?
暮田:そうです。タカノさんは、明日から句会に参加できます!
タカノ:参加したいです!
Celeina:いいですね。句会の情報などは、暮田さんのXをチェックしたらよいのでしょうか?
暮田:はい。毎月第3水曜日に、荻窪の「kokera」で『水曜日のこんとん』という句会を開催しております。
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日常の違和感を、スマホにメモ
タカノ:そして、暮田さんはよくメモを取られているというお話も伺っております。メモはスマホにするんですか?
暮田:そうです。このスマホでやっています。
Celeina:iPhoneの中に3台ぐらい入りそうな、小さいスマホですね。
暮田:中国のUnihertzというメーカーが作っているJelly 2というAndroidなんです。すごく可愛いので使っています。メモは、LINEで自分だけのトークグループを作り、そこに気になった単語を入れています。今日は、最近したメモを4つピックアップしてきました。「ベビーブーム、ゲーム脳、ライスシャワー、肉吸い」。どれもすごく面白いなと思って、川柳に使うためにメモしました。
タカノ:その気持ち、すごく分かります。僕も歌詞を書くんですが、昔のメモを見返したら、歌詞に使おうと思って「隙間産業」と書いていました(笑)。
暮田:いいですね。隙間産業! そういうちょっと違和感がある言葉を歌詞にも入れると、際立ちますよね。
タカノ:ベビーブームも、すごくいいですよね。想像力をかきたてるような余白が大事なのかな。
暮田:当然のようにベビーブームという言葉を受け入れているけど、「ベビーがブームってヤバくないか?」と思ったんです(笑)。私は、「よく見るとヤバくないか?」と感じる言葉がすごく好きなんです。
タカノ:ツッコミしろがあるというかね。
Celeina:暮田さんの頭の中を見てみたいです。
タカノ:メモ帳を覗きたいですよね。
Celeina:さあ、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいています。どんな方をご紹介していただけますか?
暮田:アーティストの東海林たぬきさんをご紹介させていただきます。絵を描かれたり、陶器の作品を作られたりしている方です。去年、『宇宙人のためのせんりゅう入門』という入門書を出したのですが、その本は、私が宇宙人に「せんりゅう」という名前をつけて、川柳界のスターに育てるという7日間の物語です。東海林さんは、その本の装丁やイラストを描いてくださいました。すごく感謝していて、尊敬するアーティストの方です。
Celeina:明日は東海林たぬきさんに繋ぎます。今日はZ世代の川柳作家、暮田真名さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann