グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
4月30日は、アドビのタイプフェイスデザイナーの西塚涼子さんが登場。日本でも数少ないタイプフェイスデザイナーのお仕事や、新たに開発した漫画専用のフォントなどについて伺いました。
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「フォントの職人」タイプフェイスデザイナーの仕事
タカノ(MC):タイプフェイスデザイナーはどういったお仕事なのでしょうか?
西塚:皆さんが使われるフォントの文字1つ1つをデザインする仕事です。
タカノ:知らず知らずのうちにお世話になっているということですよ。
Celeina(MC):アドビにタイプフェイスデザイナーさんはどれくらいいらっしゃるんですか?
西塚:人数は多くなくて、メインデザイナーの私と若いデザイナーの2人でデザインを作っています。でも、デザイン制作後フォントに仕立てるエンジニアなどもいますので、チームで活動していますね。
タカノ:西塚さんはフォント自体を生み出しているんですか?
西塚:そうですね。フォントそのものを作っています。
タカノ:フォントの神様!
Celeina:フォントの権化!
西塚:フォントの職人です(笑)。
タカノ:タイプフェイスデザイナーの方は日本にどれくらいいらっしゃるのでしょう。
西塚:正確な数は分からないですが、フォントを販売している会社も多いわけではない上、それぞれの会社にも10人弱しかいないんじゃないかな。あとは、フリーでフォントを作っているかたもいらっしゃるので。
タカノ:フォントは今どれくらい存在しているんでしょうか?
西塚:数は分からないけど、膨大だと思います。小説のように大量に文字を使ったり、古典的な文字を利用したりするものであれば、収録数の多いフォントが必要ですし、5文字で十分に雰囲気を出せるフォントもあるので、用途によって全然フォントは違うんです。なので、いくらあってもフォントは「足りない」と言われていますね。
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レタリングを機に、デザイナーの道へ
Celeina:西塚さんはどのようなきっかけでタイプフェイスデザイナーになったんですか?
西塚:大学の授業で、文字のレタリングをしたのがきっかけでした。真っ白な紙に明朝体のサンプルを見ながら書いたら、いつも印刷されている文字が自分で書けたので、楽しかったんです。その後、卒業制作でオリジナルのフォントを制作したところから、デザイナー活動が始まりました。
タカノ:でも、そんなに簡単になることのできるご職業ではないですよね。
西塚:そもそも、タイプフェイスデザイナーという枠がある会社が全然なくて。幸運なことにアドビに入ることができたので、仕事を続ける中で学んでいっている感覚です。すぐには上手くデザインもできないので、繰り返し「何でこの書体は良いんだろう」と他のフォントを分析したり、練習したりしながら鍛錬をしています。
タカノ:非常に専門的なお仕事ですからね。1つのフォントを作るのには、どれくらいの時間がかかるのでしょう。
西塚:1つの書体を極めることを考えると、10年でもいじり続けることができてしまうんです。でも2年ぐらいでリリースしないと商売にならないので、2年ほどで出せるように心掛けています。なので、手早くパシッと形を決められるようにしていますね。
タカノ:その期間内で漢字なども1個1個デザインしていくんですか?
西塚:はい。膨大な量があるんですが、前のフォントをベースにしながら新しいフォントを作っていくことで、時間を短縮できるようにしています。