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批評家としての経験も活かした口頭遊民ダコタの最新アルバムとは
吉田:「口頭遊民」と書くんですけど、芸術だけに向き合えるような高等遊民になりたかったけどなれなかった3人組という意味を持っています。生活をするだけでヒイヒイ言っている3人組ですね。
タカノ:わかりみしかないですよ。そんな口頭遊民ダコタなんですが、MVも見させていただきました。
吉田:ありがとうございます。
タカノ:とにかくかっこよかったです。見えないものと戦っているような印象を受けたんですけど、この”自威”という曲はどういう背景から生まれたんですか?
吉田:久々にラップのアルバムを作ったんですが、やはり批評を通過した視線も活かしたかったんです。ヒップホップって自分自身のリアルなことを歌うというのがベースじゃないですか。でも今作ではそれとは違うアプローチで、ナンセンスで実験的なことをやりたかったんです。でも最終的には、自分語りの曲がないとアルバムが成立しなかったんですね。結局のところ自慰のように自分語りをしたかったんだねって自分に言っているという曲なんです。
Celeina:腑に落ちました。
タカノ:リリックをじっくり読みたいですね。
吉田:批評の冊子付きのフィジカル盤が近くリリース予定なので、そこでご覧いただければと思います。
Celeina:その批評の内容は、今回のアルバムに対してのお話なんですか?
吉田:そうですね。このアルバムについての批評を、韻踏み夫とかつやちゃんといった気鋭の批評家に書いてもらったり、作品のインスピレーション源の選定や、自分で自分を批評したテキストも入ってたりしています。
Celeina:読み応えがありそう。
吉田:やはり批評と絡めて面白いことをやりたいなと思いまして。
タカノ:やっぱりアーティストとしても活動されているということで、批評家としても説得力が増すことがありそうですよね。
吉田:シンプルにすごい作品を作っている人の言葉の重みってすごいじゃないですか。自分も作品を作っている以上、自分の批評の言葉を裏切るような作品は作れない、という想いはありますね。
タカノ:「作ったこと無いくせに!」とは言わせないですよね。
吉田:作ったことがないからこそ鋭いことを言えるのが批評の面白いところでもあって、それも重要なことだと思っています。だけど、他方で作品を作っているなかで見えるものも当然あるっていう。
タカノ:ますます吉田さんのことが気になりますね。
Celeina:お茶目なところが全く垣間見られず。
吉田:やばい、間違えた(笑)。この真面目になっちゃうところがお茶目ってことでどうでしょう。あんな振りをもらったのに、全然お茶目な部分を出せませんでした。
Celeina:プロフェッサーの部分はバッチリ出ていましたよ。「FIST BUMP」、グータッチで繋ぐ友達の輪ということでお友達を紹介してもらっていますが、吉田さんが紹介してくださるのはどんな方でしょうか?
吉田:プランナーで映像作家の島本幸作さんをお呼びしたいと思います。
Celeina:一言で表すなら、どんな方でしょうか?
吉田:黒ずくめの胡散臭いジェントルマンですね。今まで1000回くらい会っているんですけど、黒ずくめ以外の服装は見たことがないんですよ。しかも肩書きもプランナーで、何のプランナーなんだよみたいな感じで怪しいんです。でも中身がめちゃくちゃナイスガイで、僕が批評を書くときも助けてもらったりしていたんですよ。当時批評を好きな友達がいなかったので、『批評再生塾』に通い始めた時に、付き合いたての彼女みたいに夜中に急に電話して「ちょっと会いたいんだけど」って誘ったりして。会えないって言われると、「電話だけでもいいから」って言ったりして。
タカノ:お茶目な部分が出ていますね。
吉田:「30分くらいでいいから」と言って電話をして、結局3時間ぐらいになるという感じで。それを1年くらい耐え忍んでもらったおかげで『批評再生塾』で優勝できたんですよ。本当に恩人ですね。
タカノ:いい話だし最後にお茶目な一面も見られてよかったです。明日は黒ずくめの胡散臭いジェントルマンと紹介されました、プランナー・映像作家の島本幸作さんに繋ぎます。
Celeina:「FIST BUMP」、今日は批評家・ビートメイカー・MCの吉田雅史さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann