グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
10月24日は、ジュエリーブランド「SIRI SIRI」の代表でデザイナーの岡本菜穂さんが登場。ジュエリー制作を始めたきっかけや、スイスと日本の文化の違い、スイスで流行っているという日本の漫画についてのお話を中心に伺いました。
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ジュエリー作りのきっかけは自身の金属アレルギー
Celeina(MC):岡本菜穂さんは2006年、ガラスや籐など身の回りにある素材を使ったジュエリーブランド「SIRI SIRI」を設立。現在はスイスを拠点に活動されています。2015年に『第23回桑沢賞』を受賞するほか、2020年にスイスの『THE LUXURY INNOVATION AWARD』でファイナリストに選出されるなど、国内外で評価されています。
タカノ(MC):ちょうど帰国のタイミングということで。我々としてはめちゃくちゃラッキーです。
岡本:でも結構帰って来ていますよ。コロナ禍の間とかは全然帰って来られなかったんですけど。
Celeina:どれぐらい頻繁に日本に帰って来られているんですか?
岡本:年に2回ぐらいで、1回につき2ヶ月ぐらいいるので、年の3分の1ぐらいは日本にいます。
Celeina:「SIRI SIRI」のデザインとかプロダクトを作る上で日本に来るのは、やはり大事なんですか?
岡本:そうですね。デザイン自体はスイスでもできるんですけど、「SIRI SIRI」は日本の工芸も使っているので、職人さんに実際に会ったり、素材感を見たり、そういった意味でも日本にいるほうが楽ではありますね。
タカノ:「SIRI SIRI」がすごくかっこいいんですよ。スタイリッシュさもありつつ、ちょっとオーガニックっぽさがありますよね。
Celeina:温かみがありますよね。
タカノ:やっぱり素材が他のブランドとはちょっと違うというか、こだわっているところが。


Celeina:個性がありますよね。ぜひリスナーの皆さんにも「SIRI SIRI」のサイトを見てもらいたいなと思います。岡本さんには「SIRI SIRI」について、設立のところからお話を伺っていきたいんですけれども、元々どのような影響があって、ジュエリーブランドを始めようと思ったんですか?
岡本:父の仕事が建築家であり抽象画家だったので、将来的に何かしらデザインの仕事はするんじゃないかなと思ってはいたんです。勉強は空間デザインとか建築の方をしていて、インテリアの仕事をちょっとしていたんですけれども、金属アレルギーがあると途中で分かったんです。ジュエリーとかファッションも好きだったので、普通のジュエリーができないんだなと思い、それで自分が使える素材でジュエリーを作ろうかなと思ったのがまずきっかけです。
インテリアとか建築って、色んな素材を試す文化があるんですが、私がジュエリーを作り始めた2006年頃って、まだ色んな素材を使ってジュエリーを作る文化がほとんどなかったんです。なので、インテリアの素材とかを使って、ジュエリーを作ってみようと思いました。
Celeina:なるほど。ご自身の生活の中で分かった、金属アレルギーだからアクセサリーが付けられないというところで、そこを改善するためにまずはブランドを始めたんですね。
タカノ:確かに小さいインテリアを身に付けているような感じもありますね。
岡本:そうですね。最初は自分のためでもありましたが、なんとなく女性ってインテリアの小物として、ガラスのコップとかバスケットの収納とかが好きだと思うので、身近にある素材でジュエリーを作ったら、きっと手に取ってもらえるかなと思ったのはありましたね。
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語学留学から始めてスイスに拠点を構えるまで
タカノ:基本的にはスイスに拠点を構えているということですが、2016年に海外進出されたんですか?
岡本:海外進出というか、個人的に海外に行っただけなんですけど。
Celeina:それもきっかけを聞きたいですね。
岡本:2016年はブランドを立ち上げて10年目で、これからもずっとデザイナーとしてやっていきたいという思いの中で、このままでいいのかな、というのがちょっとあったんです。実技的なデザインのことはもう学ばなくていいかなと思ったんですが、自分のデザイン哲学みたいなものをもう少し掘り下げたくて、ヨーロッパの大学院で学びたいなと考えたんです。でも英語がちゃんとできなかったので、まずは英語を学ぶためにイギリスに留学して、大学に行けるレベルまで英語力を上げて、そこから大学院を受けました。
Celeina:行動力がすごい。
タカノ:語学留学から始めるというのは、なかなか大変ですよね。それでスイスの大学院に行かれたんですか?
岡本:そうですね。英語で学べるヨーロッパの国はいくつかあって、北欧とかオランダとかがあったんですけど、スイスもその中の1つで。入った学科では「ソーシャルインパクト」をテーマにしていたので、基本的にソーシャルグッドなものをデザインしたり研究していました。
タカノ:スイスにはもう5年ぐらい住まわれているんですか?
岡本:いますね。
タカノ:日本との違いというか、スイスに住んで驚いたことはありますか?
岡本:ヨーロッパと日本は全然違うのでいっぱいありますね。スイスの人ってきれい好きで真面目で、気質としては日本人と似ているんですよ。でも社会のあり方は全然違ったりします。あとは、自然がとにかく近くて、夏はクーラーがないので、涼むために川に入ったりします。
タカノ:『フジロック』みたいですね。
岡本:それが結構衝撃というか。
Celeina:老若男女、みんな川に入るんですか?
岡本:川に入っていますね。泳いでいるというか、ちょっと浮かんでいるというか。
タカノ:でもいいですね、自然がすごく身近にあるという。
岡本:そうですね。私は東京で生まれ育ったので、自然と遠いんですよね。あと、私はベルンという首都に住んでいるんですが、世界遺産になっている古い街なんです。偶然だったんですけど古い街に住んでみたいなという気持ちもあったので、東京と全然違って楽しいです。スイスの自然は今でも綺麗だなと思いますね。
タカノ:スイスに思いを馳せちゃいますね。まだまだお話伺っていきたいんですけど1曲挟みましょうかね。岡本さんにこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですが、どんな曲でしょうか?
岡本:Nenaというアーティストの”99 Luftballons”というドイツ語の曲です。多分日本で一番有名なドイツの曲かなと思います。
タカノ:まだピンときてないです。
岡本:多分聴くと分かるんじゃないかなと思います。
タカノ:それじゃあ聴いてみましょう。
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色んな文化がミックスされている国の心地よさ
Celeina:岡本さんの選曲でNenaの”99 Luftballons”をお送りしました。
タカノ:曲を聴いて「これだ!」ってなりました。キャッチーでいいですね。
Celeina:印象的ですね。岡本さんはスイスでドイツ語を使うエリアに住まわれているんですか?
岡本:そうですね。スイスって公用語が4ヵ国語あるんですけど、私の住んでいるところは主にドイツ語で、少しだけフランス語が入ってくる地域です。あとはイタリア語とロマンシュ語という、ドイツ語とイタリア語が混ざったような消えゆく言葉と言われている4つの言語が使われているんです。なので、プロダクトパッケージの説明は最低でも3ヵ国語は書いてあります。
Celeina:ちょっと疑問なんですけど、スイスって岡本さんがイギリスで勉強した英語はあまり通じないですか?
岡本:通じます。結構お年召した方とかにも通じるので、みんな2ヵ国語+英語で3ヵ国語ぐらいはなんとなく喋れるって感じですね。
タカノ:結構すごいですね。
Celeina:半端ないですね。
岡本:スイスにいると、ちょっとフランス語も勉強しないといけないかなという気持ちになってきますね。ドイツ語圏ならドイツの文化が強いですし、フランス語圏ならフランスの文化が強いので、色んな文化がミックスされていて1つのところにいなくていいという気持ちよさはあります。
Celeina:1つの決まった何かがあるんじゃなくて、色んなものと触れられる環境という。
岡本:やっぱりすごくニュートラルです。政治的にも中立国ですけど、文化面でもすごく中立で、透明な感じが好きですね。
Celeina:いいですね。日本は島国だから、スイスとは結構差がありますよね。
岡本:日本は言葉も1つですし、文化も多様ではありますけど、基本の日本文化というのがベースにありますよね。スイスは全然バラバラで対立もしないんです。そもそもがバラバラな状態から成り立った国なので。
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コロナ禍で広まった日本の漫画カルチャー
Celeina:そんなスイスですけれども、日本の漫画カルチャーがスイスに進出しているという噂を聞きました。
岡本:めちゃくちゃ進出していますね。
Celeina:スイスではどんな感じなんですか?
岡本:ドイツ語圏というかヨーロッパにすごく進出していて、コロナ禍の時に特に漫画カルチャーが広まりましたね。
Celeina:漫画だけですか? アニメも結構人気なんですか?
岡本:アニメもそうなんですけど、漫画が特にすごいと思います。コロナ禍前とかだと本屋さんの一番上に漫画のフロアがあったんですけど、今はもう1階の一番いいところに、すごい面積で日本の漫画が展開されています。
タカノ:どんなラインナップがあるんですか?
岡本:ありとあらゆる漫画があります。日本の本屋さんと変わらないぐらいか、もしくはもっとあるんじゃないかな。
Celeina:じゃあ名作から最新作まで。
岡本:最新作もあります。名作だと、最近は一押しのコーナーに『子連れ狼』のアートブック本みたいなものが置いてあります。
Celeina:特別編みたいなものが売られているという。
タカノ:ちょっと嬉しくなりますね。
岡本:漫画の影響はすごいと思います。
Celeina:しかもそれは日本語ではなくて、ドイツ語とか、その国の言語に訳されているものが売られているんですよね?
岡本:そうです。結構高いんですけど。
Celeina:冊どれぐらいするんですか?
岡本:最近買ったドイツ語の『20世紀少年』は3000円ぐらいですね。2冊が1冊になったデラックス版みたいな感じなんですが。円に換算するとそのぐらいするので結構高いなと思うんですけど、子供だけじゃなく大人も楽しんでいるという感じですね。
タカノ:スイスがそんなことになっていると思わなくて、ちょっと驚きました。
Celeina:さあ「FIST BUMP」なんですけれども、グータッチで繋がる友達の輪ということでお友達をご紹介してもらっているんですが、岡本さんがご紹介してくださるのはどんな方ですか?
岡本:寿司職人の大前欽尉さんを紹介したいと思います。
Celeina:一言で表すなら。
岡本:色んなカルチャーに精通しているお寿司屋さんの息子ですね。
Celeina:お寿司屋さんの息子さん。
岡本:職人という感じではないので。大将であるお父様との関係はちょっと泣けるんですけど。
タカノ:そこの部分聞きたいですね。ありがとうございます。明日は寿司職人の大前欽尉さんに繋ぎます。
Celeina:「FIST BUMP」、今日はジュエリーブランド「SIRI SIRI」の代表、そしてデザイナーの岡本菜穂さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann