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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

イラストと音楽を繋ぐ編集者・天野昌直が語るイラストレーターの過去と現在、未来

2023.11.29

#BOOK

「繋がりたい」と「共感」から作品が生まれる

Celeina:このカルチャーの年齢層が下がってきていると聞いているんですが、実際どうですか?

天野:イラストを私たちの雑誌に投稿している若い層に話を聞くと、小学生の頃からボカロの動画を観たり、プロセカ(プロジェクトセカイ)をやっていたりするんです。小学生の頃からそういうものを観ていて、特に「歌ってみた」という文化があるので、低年代から自分でもやってみようかなって思いやすいんですよね。人気曲を自分で歌ってみて、発表するようになります。だから、絵を描いている中学生ぐらいの子たちと、「歌ってみた」で歌っている中学生の子たちが、年齢層が近くて趣味が一緒だということで集まって、自分たちでミュージックビデオを出していく。そういう動きが結構盛んですよ。

Celeina:そんなことが行われているんですか? すごいな! そんな子たちが大人になったら、さらにすごいことになっちゃいますよね。

タカノ: 中学の頃からイラストを考えて発表したり、将来DTMerになりたくて、音楽を作ったりという経験をしていると、将来すごいことになりそうですね。

天野:中学生が個人活動としてライブハウスに出演するのは無理だけど、ネットにアップすることはできる。この点も発展の大きな理由だと思います。

Celeina:これまで長くイラストレーターの方や趣味としてイラストを描かれている方と触れ合ってきた時間が長いと思うのですけれども、時代を経て、変化は見えてきていますか?

天野:そうですね。1980年代だと、みんな見ているものが同じだったので、そこから抜きん出ようとか、人と違うことをやって飛び抜けようという人たちがいたと思うんです。だけど、今はもうとにかく情報や物が多くて同じものを見ていない。なので、「違うことをしたい」という気持ちよりは、同じ趣味の人がいたという共感の喜びのほうが大きくて、同じ趣味の人たちと共感したり繋がったりすることで、気持ちをシェアするほうに意欲が向いていると思います。音楽や絵をきっかけに友達が出来ることは昔からありますが、今は特に「繋がりたい」という思いが強くなった気がしますね。

Celeina: 「繋がりたい」と「共感」なんですね。

天野:そうですね。

Celeina:それではここで1曲、天野さんにこの時間にみんなで聴きたい曲を選曲していただきました。選曲した理由から教えていただけますか?

天野:これは洋楽なんですけど、イラストを紹介するという私の活動を「世界でもっと広げたい」と言ってくれたアメリカの会社の人がいて、その人に呼ばれて1人で渡米したことがありました。1人孤独なアメリカのバスの中でずっと聴いていた曲です。当時、イラストが世界に広がっていくのかなって思いもあったので、思い出深くて感慨深い曲なんですよね。

Celeina:それでは曲紹介お願いします。

天野:シモーネで“Tô Voltando”。

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