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イラストと音楽のクロスカルチャーは日本独自
タカノ: ボカロ文化についても聞かせていただきたいのですが、先ほどのミュージシャンとイラストレーターがタッグを組むというお話で、今はボカロ文化のほうがイメージは強いかなと思うんですけど、これは日本ならではの文化なんですよね。
天野:音楽とビジュアルでいうと、ミュージシャンたちが演奏するMTV的なミュージックビデオがまず主流で、バンプと松本監督のコラボみたいにアニメーションを使った作品もずっとありますよね。そういうプロジェクトとはまた別で、ある時から、草の根でインターネットを使って創作する人たちが作品を発表しやすくなりました。そこでは、もともと歌うのがボーカロイドだったこともあり、自分が映像に登場してプレイするのではなくて、作品のためにキャラクターを作ったり、イラストレーターさんに頼んでビジュアルを描いてもらったほうが、その曲の世界観をより伝えられるという思いがあったと思うんです。日本だと、漫画やアニメ、イラストの文化がすごく浸透しているので、そういうキャラクターが登場する映像で楽曲の世界観を表現する。自分の姿よりも、楽曲の世界観を忠実に体現できるだろうと。そういった動きがボカロ文化でずっと発展していって今があると思うんです。
まふまふさんはご自身が姿を見せて、紅白歌合戦にも出られましたけれど、今でもイラストは茶々ごまさんにお願いしていて、ずっとその関係も続いています。10月に展覧会を行うんですけど、茶々ごまさんの絵を音楽から知った方がとても多いです。多分、キャラクターが楽曲の世界観を表してくれるという発想は、今のVTuberのような、キャラクターをアバターとして活動する流れにも繋がっているような気がしますね。

Celeina:イラストレーターと音楽をやっている人が繋がって、そこの架け橋を作ってくれたことによって、ファンもどちらにも行き来できるから、フィールドがどんどん大きくなってきたような感じもしますよね。
天野:そうですね。お互いのファンが合わさるので、そこがまた大きいことになりますよね。