グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
9月5日は、建築家の菅原大輔さんが出演。今回は、建築だけでなく街作りにも取り組む菅原さんに、街作りのプロジェクトの内容やその魅力、ご自身のもの作りの原点などについて伺いました。
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自分の寿命よりも長いものをデザインしているというのが仕事の醍醐味
Celeina(MC):昨日のレンガ職人の高山登志彦さんからのご紹介で、建築家の菅原大輔さんです。よろしくお願いします。
菅原:菅原です、よろしくお願いします。
Celeina:まずプロフィールをご紹介させていただきます。菅原大輔さんは、1977年東京都生まれです。日本やフランスの建築事務所で、10カ国22都市のプロジェクトを担当し、2007年に菅原大輔建築事務所を設立。ルイ・ヴィトンから地域活性まで多岐にわたり活動されています。
タカノ(MC):世界で活躍されて、お忙しい中だと思うんですけれども。
菅原:これだけ聞くとそんな感じですけど、普通のお兄さんです。
Celeina:いやいや。
タカノ:でもすごく親近感のある感じで、お話ししやすい空気を感じております。そんな菅原さんなんですけれども、昨日の高山さんから「接着剤のような役割を果たす人」という、すごく良いワードをいただきまして。これは人を繋ぎ合わせるプロジェクトというイメージなんですかね。
菅原:そうですね、何かすごいお題をいただいたので、どうやって話そうかなと思ったんですけど、多分言ってくださっているのは、僕の街作りのことかなと。僕は建築家ではあるんですけど、街作りの仕事を結構沢山やっていて、島根県とか山梨県の山中湖村、秋田県五城目町の3つぐらい、特に大きなものをやってるんですけど。
建物って使い方や使われる機能というのは大体決まっていたりするんですけど、街ってなると、そこに暮らしている皆さんの気持ちをくみ取ったりしないといけないんです。あとは、そこにある風景とか気候風土も違って特徴的だし、祭りを含めた歴史とか文化というものを繋ぎ合わせて、今後100年、200年、数千年の骨格を作っていくというのが街作りなので、その辺の繋ぐということを言ってくださったんじゃないかと自分なりには解釈してるんです。
タカノ:確かに街って、イコールと言っていいほど人と言いますか、そこに住む人たちのことを考えて、ということですもんね。
菅原:それこそね、街の中でも、そこに住まわれている皆さんは色んな考え方をお持ちだったり、色んな年代があるので、1個のことを決めていくことって結構難しいんです。それでも、街作りって道とか建物とかを最終的に1つに決めないといけないので、学術的な調査も当然並行してするんですけど、気持ちを色々話したり、一緒に飲んだり、祭りに参加したりしながら、どうやったら皆さんが繋がる一言のキーワードとか、街の形が見えるかな、というのをやっているかなと思っています。
タカノ:今されている3つのプロジェクトは、難しいかもしれないですけども、それぞれ簡単に言うと、どういったプロジェクトになるんですかね。
菅原:どれもめちゃくちゃ面白くて、喋り始めたら数時間喋っちゃうんですけど、簡単に言うとですね、島根県の隠岐の島町というのは、当然島なんで港があるんですけど、その港を中心に3万平米のエリアを10年間かけて、少しずつ対話を重ねながら街の方と作っていく。新しい交通ハブというか、商業とか交通の中心を作っていこうというプロジェクトです。
実は山中湖村のお祭りに昨日参加して、今日は車で帰ってきたところなんですけど、そこは逆に山の中なので、基本的にバス交通がその街の主要な交通なんです。そこでバス停とコミュニティセンターを合わせて開発しながら、その街をどうやって活性化させていくか、新しい回遊性を作っていくかみたいなことをやってます。
秋田の五城目町は、この間ちょっと雨の災害でも大変だった街なんですけど、333年も続く酒蔵がありまして、そこの蔵元の渡邉康衛さんがすごく志の強い方なんです。今、蔵の生産ラインを僕らが設計でお手伝いしてるんですが、その蔵の生産ラインを変えたときに余る蔵の敷地を開いて、街の活性の祭りの場とかイベントの場にしよう、というのも今やっています。3つとも共通するのは、何を作るかがまだ決まっていなくて、何を作るかから一緒に話しながら今作ってるっていうところです。そこはちょっと普通のプロジェクトとは違うかなと思いますね。
Celeina:なるほど。
タカノ:でも島根県の隠岐の島町とか10年っていう単位が出ましたけど、規模もそうですけど、時間的なスケール感もすごい。
菅原:そうなんですよ。それが建築とか街作りですごく面白いところで、僕らが死んでも100年200年その骨格は残っていくんですよね。自分の寿命よりも長いものをデザインしてるというのが、僕らの仕事の醍醐味なんですが、あいつは駄目だったなって何百年言われ続けないようにしないと、といつも不安に思うところもあります。
タカノ:菅原さんならではのプレッシャーというのもあるってことですよね。
菅原:そうですね。
タカノ:でもちょっと質問いいですか。例えば10年後とか20年後、更には100年後とかっていうことを想像しながら色々、言葉だったりとかを考えていくわけじゃないですか。どうやって、ヒントを得ていくんですか?
菅原:それもいつも悩むんですけど、1つは、街の方とめちゃくちゃ飲んだり出かけたり祭りに参加して、その地域の人になりきるというのは大事ですね。
タカノ:溶け込んで。
菅原:溶け込んでいくというのは大事なのと、あともう1個。100年、1000年の未来をどうやって見るかというと、実は逆に100年前1000年前のこの街では、どうやって人々が生活してきたのか、どういう動物が暮らしていたのか、どういう気候でどういう植物が育ってきたのかを知ると、昔から今までの変化が、実はこれからの未来の変化を予測することに繋がったりするんですよ。
タカノ:面白い。過去を知れば未来が。
菅原:ことわざみたいですけど、結構それは本質を突いてるなって最近仕事していてよく思いますね。
タカノ:でも場所もバラバラじゃないですか。移動がすごく大変そうだなと思うんですけど。
菅原:そうですね、それが大変なんですけど、僕は生まれが東京の浅草なんですけど、逆に都会の中で生まれてしまったから、いわゆる「郷土を感じるふるさと」というのがないんです。なので、色んな街で街作りしながら、自分にとって子どもみたいな感じというか、どんどん第2の故郷が増えていくようなことが楽しくて、旅は長距離大変ですけど、それなりに楽しくやっています。
Celeina:いいですね。
タカノ:素敵なお話。ちょっとまだまだお話を聞いていきたいんですけれども、ここで1曲挟みましょうかね。菅原さんにこの時間にラジオでみんなで聴きたい曲を選んでもらいました。どんな曲でしょうか。
菅原:まず昼間に皆さんに元気になってほしいなという思いと、ちょっと仕事に繋げて曲を選んでみました。
タカノ:では紹介お願いします。
菅原:Pharrell Williamsの”Happy”お願いします。