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『ガンダムジークアクス』絶賛の理由。その一方で考えさせられた「戦争への態度」

2025.7.9

#MOVIE

©︎創通・サンライズ

SNSに最適化されたアニメーションとしての『ジークアクス』

とはいえ全12話という尺に対して、『ジークアクス』の情報量は極端に過剰だ。ジオンが勝った世界線の一年戦争の顛末、宇宙世紀0085の生活のディテール、決闘めいたモビルスーツ戦・クランバトル、マチュという少女の成長、そしてこの世界と「シャロンの薔薇」の秘密。この情報量の多さに対して本作の作劇は十分だったとは言えない。多くの疑問や感情の着地点が不十分で、大量の空白が残されたまま物語は終わる。

しかしこの作劇にSNSという要素が加わると、その「空白」は視聴者にとっての余地として機能する。画面いっぱいに設置された情報を解釈し、その解釈はSNSに示され、その情報は『ジークアクス』ではじめてガンダムに触れた視聴者に共有される。そしてSNSのトレンドは『ジークアクス』の情報で埋まる、というサイクルが生まれる。

毎話終了後、SNSは考察で溢れかえった

このサイクルは、本作の内容そのものとも重なる。冒頭で紹介したように、このアニメは「アニメ内だけで完結する世界で展開される物語」を描くものではなく、「ガンダムという作品が受容され、どのように展開していったか」という方向性で開かれている作品だからだ。

「マルチバース」と言う今般では当たり前になった世界設定を通じて、ガンダムというIPの歴史をメタ的に認知させるものとして、『ジークアクス』の劇中のキャラクターと視聴者は同じ世界線の別々のレイヤーに存在することができる。つまり、『ジークアクス』というアニメ作品そのものが、ガンダムの歴史と現実の我々を繋げるシャロンの薔薇(アニメ内では、ほかの宇宙世紀とジークアクス世界を繋げる接点)として機能しているのだ。

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