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メインから脇役まで、画面を埋め尽くす強烈なキャラクターたち
新シーズンで驚かされるのは、そのバイオレンスアクションのスケールアップだ。供花村と食人の謎については前シーズンで多くが明かされているため、解決編となる今回は巻頭からアクションシークエンスが大幅増強。メインディレクターを務める片山慎三はポン・ジュノ作品の助監督を務めたキャリアの持ち主。水を開けられて久しかった韓国バイオレンスアクションに、日本作品がついに肉薄したと言っても過言ではない。バリエーションの豊富さはもちろんのこと、とりわけ中盤の一大シークエンスに筆者は思わずうめき声が漏れた。

物語が佳境に突入する今回、登場人物それぞれのディテールが掘り下げられ、柳楽を筆頭とした演技陣にも多くの見せ場が与えられている。後藤家の頭領、恵介を演じる笠松将は柳楽と対称的な静の芝居。善悪の狭間で揺れ動く繊細な心理演技は観る者の心を揺さぶり、『ガンニバル』が実質上、柳楽と笠松のツートップ主演であることを証明している。笠松といえば1990年代後半の東京を舞台にしたハリウッド作品『TOKYO VICE』でのヤクザ役も記憶に新しいところ。またしてもグローバル作品でのブレイクスルーとなった。

他、曲者だらけの供花村の住人に山下リオ、六角精児、そして後藤家随一の巨体を誇る岩男を演じた吉原光夫ら演技巧者が名を連ね、サポーティングアクトがぬめり光る。
