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映画『映画を愛する君へ』レビュー デプレシャン監督が描いた、観客としての自分

2025.2.3

#MOVIE

映画があらゆる個人に与えてきた影響そのものを物語る

デプレシャン自身の創作については全く触れない潔癖さもまた、この映画作家らしい。映画館という場所との出逢い、映画をめぐるおしゃべり、映画を媒介とした友情やラブアフェアなどの再現ドラマパートは、これぞアルノー・デプレシャン! と喝采を叫びたくなる潤いに満ちあふれているが、それらはあくまでも副菜にすぎない。

メインディッシュは、あくまでも映画がこの世界のありとあらゆる個人に与えてきた影響そのものを物語ることにある。この簡潔さ。

「映画は人生の一部になる」
「スクリーンの上で現実はきらめく」
「映画を通して世界は意味のあるものになる」
「映画は大きく、自分は小さい」
「人生を愛せるなら、映画も愛せる」
「映画館で、人はひとりになれる」

決定的な名言が、星の砂のように散りばめられている。それらは美辞麗句ではなく、どれもが心からの言葉だ。まさに冷静と情熱のはざまにあるフレーズ。

フランス映画への言及は、最終盤においてようやくなされる。その直前に、あの俳優が登場する。あたかもサイン=署名のように添えられたシークエンスを目の当たりにするわたしたち観客は、この映画を目撃できたこと、映画メディアと知り合えたことに深く感謝することとなるだろう。

『映画を愛する君へ』

2025年1月31日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

監督・脚本:アルノー・デプレシャン
脚本:ファニー・ブルディーノ
製作:シャルル・ジリベール
共同製作:オリヴィエ・ゴリア
音楽:グレゴワール・エツェル
撮影:ノエ・バック
衣裳デザイン:ジュディット・ドゥ・リュズ
出演:ルイ・バーマン クレマン・エルヴュー=レジェ フランソワーズ・ルブラン ミロ・マシャド・グラネール(『落下の解剖学』) サム・シェムール ミシャ・レスコー ショシャナ・フェルマン ケント・ジョーンズ サリフ・シセ マチュー・アマルリック(『フレンチ・ディスパッチ』)

2024 年/88 分/フランス
原題:Spectateurs!
英題:Filmlovers!/カラー/5.1ch/2.35:1
日本語字幕:福家龍一
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
配給:アンプラグド © 2024 CG Cinéma / Scala Films / Arte France Cinéma / Hill Valle
公式サイト:https://unpfilm.com/filmlovers/

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