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いろはにとって替えの効かない存在であるママとマミー

薫を肯定する意識は、薫の背景を知る由もない、いろはのまっすぐな言葉からも感じ取れる。第3話で「みはり星」という母の日の作文で茉海恵と薫について書いていたいろは。その後、いよいよ替え玉受験がバレてしまい、第5話では、担任の智也から薫について尋ねられた彼女はこう答えるのだ。
「マミーは私が知らないことやわからないことを知っているすごい人です」
「ママとマミーは夏の大三角みたいに、それぞれが星になって、ちゃんと私とつながっています」
いろはの言葉は、薫と茉海恵はどちらかが搾取されるものでもなく、どちらもが独立している替えの効かない存在であることを示す。そして、何よりも、いろはが薫を指して呼ぶ、本作のタイトルにも込められた「マミー」という呼び名こそ、薫を透明化しないという作り手の強い意志の表れだろう。
第6話では、薫が「リアルマミー」こと母・聖子(筒井真理子)に、ニセママ業を打ち明けるものの、理解はしてもらえずに、一方的に拒絶されてしまう。許されない道を進んでいることは、薫も茉海恵も、そして視聴者である私も分かっている。だが、それでも彼女たちが進む先に、どうか光がありますようにと願わずにはいられないのだ。
『フェイクマミー』

TBS系にて毎週金曜よる10時から放送中
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fakemommy_tbs/